ドル建て社債の高利回りに潜むリスクとは?投資前に知っておきたい注意点を解説

資産運用、投資信託、NISA

ドル建て社債は円建て債に比べて高い利回りが魅力的で、多くの個人投資家が注目しています。しかし、その裏には為替変動や信用リスクなど、注意すべき点がいくつも存在します。本記事では、ドル建て社債に投資する際に知っておくべき主要なリスクと、そのリスクを回避・軽減するための方法をわかりやすく解説します。

■ ドル建て社債とは?特徴を簡単におさらい

ドル建て社債とは、発行体が米ドル建てで資金調達を行う債券のことで、利払いおよび償還も米ドルで行われます。主に海外企業や日本企業の海外子会社などが発行し、円建てよりも利率が高めに設定されていることが多いです。

日本国内からも証券会社を通じて購入可能で、特に近年は個人投資家向けに少額から投資できる商品も増えています。

■ 為替リスク:円安・円高の影響が大きい

ドル建て社債の最大のリスクは「為替リスク」です。利息や償還がドルで支払われるため、投資時と受取時の為替レートによって実際の円換算額が変動します。

たとえば、1ドル=130円のときに投資しても、償還時に1ドル=110円になっていれば為替差損が発生し、利息を上回る損失になることもあります。逆に円安が進めば為替差益が得られることもあるため、相場観や為替ヘッジの有無が重要です。

■ 信用リスク:発行体の信用力を要チェック

ドル建てとはいえ、社債である以上「倒産や財務悪化のリスク」は避けられません。特に海外企業の場合、情報開示が不十分なこともあり、信用力の見極めが難しいことがあります。

そのため、格付け機関(ムーディーズ、S&P、フィッチなど)の格付けや、直近の決算情報、事業リスクなどをしっかり確認することが大切です。高利回りなものほどリスクが高い傾向にあります。

■ 流動性リスク:途中売却が難しい場合も

ドル建て社債の多くは、満期まで保有することを前提に設計されており、市場での流通性が低いものも存在します。途中で売却したくても、買い手が見つからなかったり、希望価格で売れなかったりする可能性があります。

特に個人向け社債はセカンダリーマーケットが小さく、証券会社での買取価格も不利になる場合があるため、流動性リスクにも注意が必要です。

■ 税務・手数料面での留意点

ドル建て社債は外貨建て資産として扱われるため、為替差益・差損も含めて課税対象になります。特定口座(源泉徴収あり)での管理ができないケースもあるため、確定申告が必要になることがあります。

また、購入・売却時に為替手数料や取引手数料がかかる場合もあるため、事前に証券会社の費用体系を確認しておきましょう。

■ リスクに備える投資戦略とは

為替リスクに対しては「為替ヘッジあり」の商品を選ぶ、またはFXなどでヘッジ取引を自分で行う方法があります。ただし、ヘッジにはコストもかかるため、期待利回りとのバランスが重要です。

また、分散投資により個別企業の信用リスクを軽減したり、満期の異なる債券を組み合わせることでリスク分散を図ることも可能です。

■ まとめ:高利回りの裏にある「見えにくいリスク」を理解する

ドル建て社債は高利回りが魅力ですが、それと引き換えに為替リスク・信用リスク・流動性リスクといった複数のリスクを伴います。魅力的に見える商品ほど、しっかりと裏側の仕組みを理解し、慎重に判断することが重要です。

情報収集や専門家の意見を活用しながら、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選びましょう。

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