消費税ゼロで本当に経済は上向くのか?賃上げとの比較で見える現実的な経済対策とは

経済、景気

消費税の撤廃は「家計の負担軽減」につながる可能性がある一方で、「それだけで日本経済が活性化するか?」と問われると、必ずしもイエスとは言い切れません。本記事では、消費税廃止の経済効果を冷静に分析し、賃上げとの比較も交えて「本当に有効な経済刺激策」について掘り下げます。

消費税が撤廃されると何が起きる?

消費税は、すべての取引に広く課税されており、税収の大きな柱となっています。2023年度で約22兆円が消費税による国の歳入でした。このため、消費税を撤廃すると家計には恩恵がある反面、政府の財源が大きく失われます。

たとえば、500円のチョコレートが実質50円安くなるなどの積み重ねは、確かに日常の購買行動に好影響を与えうるものの、それだけで大きな消費行動の変化が生まれるとは限りません。

高額商品の消費は消費税撤廃で本当に活性化するのか

「5000万円の家が4500万円で買えるなら…」という理屈は成り立ちますが、家を買う判断は税金だけでは動きません。住宅ローン、将来の収入不安、人口減少などの構造的要因の方が大きく影響します。

また、家や車などの耐久消費財は「非連続的支出」であるため、多少の価格変動では購買行動の変化は起こりにくいという側面があります。

日常消費における“ジワジワ効果”はある

たしかに500円の品が450円で買えるという感覚は、小さくても積み重なれば年単位で数万円の節約になります。この点で、特に低所得層の可処分所得が増え、日用品の買い物や外食などへの支出がやや増える可能性はあります。

ただし、この支出増がGDP成長を押し上げるほどのインパクトを持つかというと、限定的という見方が経済学者の中では主流です。

賃上げの方が経済成長には直結する理由

経済を安定的に成長させるには「実質所得の増加」が不可欠です。賃金が上がれば可処分所得が増え、将来への安心感も生まれ、消費マインドはより積極的になります。

2024年の春闘では平均賃上げ率が3.6%超と、30年ぶりの水準に達しました。これが続けば、より確かな内需の拡大が見込まれます。賃金は一度上がると元に戻りづらい「ストック的要素」を持つため、経済への波及効果も長く続きやすいのです。

消費税廃止 vs 賃上げ:どちらが現実的か

消費税をゼロにするには巨額の財源が必要です。一方、賃上げは民間企業の経済活動の中で実現可能であり、企業収益が改善すればその原資としても妥当です。

しかも、賃上げは経済の好循環の起点になります。企業→労働者→消費→企業利益増→再投資といった流れが生まれるのです。

まとめ:持続的な経済成長には「所得の向上」がカギ

消費税の撤廃は、家計に一時的な恩恵をもたらす可能性はありますが、長期的かつ構造的な経済成長にはつながりにくいと考えられます。一方で、安定した賃上げと雇用環境の改善は、人々の将来不安を減らし、消費活動を促進する有効な手段です。

つまり、経済の活性化には「減税」よりも「収入の安定と増加」が本質的な解決策だと言えるでしょう。

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