株式の信用取引において、現渡しを実行する際の損益計算方法については、少し混乱を招くことがあります。特に、売建てと現渡しを絡めた取引の場合、評価損益や最終的な損益がどのように計算されるのかを理解することが重要です。今回は、現渡しの実行方法と損益の計算について、具体例を交えて解説します。
1. 売建ての基本的な仕組み
売建てとは、株式を持っていない状態で株を売ることを指します。信用取引を利用して、株を売ることで、将来的に株価が下がることを期待します。売建てを行うことで、株を借りて売却し、価格が下がったところでその株を再購入して返済することが利益となります。
例えば、ある株(A株)を売建てで100株5000円で売ったとします。この場合、売建て時点で得たのは5000円×100株=50万円です。その後、株価が上昇して6000円になった場合、評価損が発生します。この評価損は、現時点で新たに買い戻さない限り、実現しません。
2. 現渡しとその仕組み
現渡しとは、売建てした株を実際に買い戻して、株を返済することです。現渡しを行う場合、売建てした株と同じ銘柄を市場で購入し、その株を返済する形になります。
たとえば、A株を5000円で売建てし、その後株価が6000円になった場合、評価損が1000円発生しています。現渡しを行うには、6000円で株を購入し、売建てた株を返済することになります。この時、実際の損益は現渡しの購入価格と売建て時の売却価格との差額が確定します。
3. 現渡し後の損益計算
現渡しを実行した場合、損益は売建て時の株価と現渡し時の購入価格との差額に基づいて計算されます。現渡し後に実現する損益を計算する際、以下の式を使用します。
取引内容 | 金額 |
---|---|
売建て価格(5000円×100株) | 50万円 |
現渡し購入価格(6000円×100株) | 60万円 |
評価損(60万円−50万円) | −1万円 |
上記の例では、現渡しを行うことで1万円の損失が確定します。これにより、評価損は現実の損失となり、最終的な損益は−1万円となります。
4. 現渡しをすることで損益はゼロになるのか?
現渡しを行った場合、損益がゼロになることは基本的にありません。なぜなら、売建て時の株価と現渡し時の株価に差がある限り、必ずその差額分が損益として実現するからです。
現渡し後に損益がゼロになるのは、売建て時点の価格と現渡し時の購入価格が全く同じである場合のみです。たとえば、5000円で売建てた株を5000円で買い戻した場合、差額はゼロとなり、損益は発生しません。しかし、株価が変動していれば、必ずその分の損益が実現することになります。
5. まとめ: 現渡し後の損益と取引のポイント
信用取引での現渡しは、評価損益が現実の損益として確定する重要な手続きです。現渡しを行うことで、売建て時の株価と現渡し時の購入価格の差が最終的な損益として確定します。現渡し後に損益がゼロになることは、売建て価格と現渡し価格が同じである場合のみです。
信用取引を行う際は、株価の変動を注視し、損益計算をしっかりと行うことが重要です。また、手数料や税金を考慮して、取引を行う際には十分な計画が求められます。
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