「消費税は本当に廃止できるのか?」という疑問は、経済的にも政治的にも非常に大きなテーマです。結論から言えば、消費税の廃止は制度上は可能ですが、その実現には数々の現実的・政治的なハードルがあります。本記事では、財源の構造、政党の立場、代替案の可否などを多角的に解説します。
そもそも消費税とは?制度の目的と役割
消費税は、国民の幅広い消費活動に対して公平に課税される間接税です。1989年に導入され、現在は10%(軽減税率8%)の税率となっています。
その主な目的は、少子高齢化に伴う社会保障費の安定的な財源確保。特に年金・医療・介護などの支出が増大している中で、所得税や法人税に比べて景気の影響を受けにくい「安定税収」としての機能が重要視されています。
消費税廃止は制度上「可能」だが…
法律的には、国会で「消費税法」を廃止する法案が可決されれば、消費税を撤廃することは可能です。しかし実際には、その前提となる「代替財源の確保」が極めて困難です。
たとえば消費税は、2022年度には約22兆円の税収を占めており、これは国家予算(約110兆円)のうち20%にあたる規模です。この収入をゼロにしてしまうと、財政赤字が急拡大し、国債発行残高や信用不安にも直結しかねません。
自民党が消費税を廃止できない理由
与党である自民党は長年、消費税を「社会保障財源の柱」として位置づけています。2023年現在、自民党の公約や財政政策の中に「消費税廃止」や「大幅減税」の記載はありません。
特に財務省との政策連携の中では「増税による財政健全化」路線が主軸とされており、消費税の存続・維持は既定路線とみなされています。
一方、消費税廃止を掲げる政党も存在する
れいわ新選組や共産党など、一部野党は「消費税ゼロ」や「廃止」を掲げています。れいわ新選組は「消費税をゼロにすることで可処分所得を増やし、経済を活性化させる」と主張しています。
ただし、これらの政党は現状では政権を担っておらず、政策実現には国民の大きな支持と政治的な多数派形成が必要です。
代替財源の議論:法人税・金融課税は現実解か
消費税廃止の代替案としては、以下のような財源が検討されています。
- 法人税の増税
- 所得税の累進強化
- 金融所得課税の強化(例:株式譲渡益税の引き上げ)
- 防衛費や公共事業費の抑制
しかし、これらも景気への影響や企業活動への制限が懸念され、実行可能性には議論があります。
国際的にはどうなのか?消費税ゼロの国の事例
消費税(付加価値税)を導入していない先進国は非常に少なく、日本と同様の社会保障制度を持つ国では、たとえばスウェーデン25%、ドイツ19%など、むしろ高率の消費税が導入されています。
つまり、日本が「福祉国家的モデル」を維持しつつ消費税をゼロにするには、他の高負担国家以上の厳しい財源戦略が必要になります。
まとめ
消費税の廃止は法的には可能ですが、現実的には極めて困難です。その背景には、国家財政の構造、政治的な多数派形成の難しさ、代替財源の不確実性などがあります。
ただし、「消費税のあり方」を見直す議論は今後も続くべきテーマであり、ゼロや減税を実現したいならば、選挙でその意思を示すことが第一歩となります。

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