BIS基準におけるネッティングと信用供与の関係について

経済、景気

BIS(国際決済銀行)によると、「ネッティングによるエクスポージャーの削減は信用供与に寄与しない」とのことですが、これはどういう意味なのでしょうか?本記事では、BIS基準のRWA(リスク加重資産)とレバレッジ比率、さらにネッティングによる影響について詳しく解説します。

BIS基準におけるネッティングとエクスポージャー

まず、ネッティングとは、金融機関が複数の取引で発生した相手方との債権債務を相殺し、実際にリスクを取る部分を減少させる手法です。これによって、表面上のエクスポージャー(信用供与額)が減少することになります。

BISの見解では、ネッティングによって削減されたエクスポージャーは、信用供与に実質的な寄与をしないとされています。なぜなら、ネッティングによる削減は、あくまで計算上の調整であり、実際の信用供与のリスクに直接的な影響を与えないからです。

RWAと貸し出し限度額の関係

RWAは、金融機関が保有する資産のリスクを示す指標で、貸し出し限度額を決定する要素となります。RWAが高いほど、その金融機関が取るべき資本の量が増えます。

したがって、RWAが貸し出し限度額を決める一方で、ネッティングによるエクスポージャーの削減は、実際の資本要求額には影響を与えないという理解が必要です。つまり、ネッティングでリスクを低減したとしても、RWAに基づく実際の貸し出し額や信用供与の限界は変わりません。

レバレッジ比率とTire1資本

レバレッジ比率は、金融機関の安定性を示すために用いられる指標で、Tire1資本(株主資本)とエクスポージャーの比率によって決まります。この比率が高いほど、金融機関はより強固な資本基盤を持つと見なされ、リスクを吸収できる能力が高いと評価されます。

レバレッジ比率の最低基準は、金融機関がその信用供与や貸し出しに対するリスクを適切にカバーできるようにするために設けられています。これに対し、ネッティングによってエクスポージャーを削減することは、レバレッジ比率の計算には影響を与えないという点も重要です。

信用供与に与える影響と実際のリスク

質問者が指摘するように、数十兆円規模の信用供与がネッティングによって削減される可能性もありますが、BIS基準の枠内では、ネッティングは実質的な信用供与に対するリスクを削減するものではないとされています。

金融機関が負うリスクや信用供与の範囲は、最終的にはRWAや資本規制に基づくものであり、ネッティングがいくら効果的でも、実際のリスクを完全には回避できません。このため、ネッティングが削減するのは「表面上のエクスポージャー」であり、信用供与に寄与しないとされるのです。

まとめ

結論として、ネッティングによるエクスポージャーの削減が信用供与に直接的な寄与をしないというBISの見解は、RWAやレバレッジ比率といった規制に基づいたリスク評価の仕組みによるものです。ネッティングによってエクスポージャーは減少するものの、実際の信用供与のリスクはRWAによって決まるため、その影響は限定的です。

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