ベンチャー企業や中小企業の共同設立において、創業メンバーが50%ずつ株式を保有するケースは少なくありません。このような場合、出資比率が同じであることから“対等な権力・権利”を持つと思われがちですが、実際の運営ではさまざまな要因が関わってきます。この記事では、株主としての権利の平等性と、会社の経営における実際の意思決定構造について解説します。
株主としての基本的な権利は「平等」
会社法上、同じ種類・同じ数の株式を保有する株主は、原則として平等な権利を持ちます。つまり、BさんとCさんがともにA社の普通株式を50%ずつ保有していれば、議決権・配当・残余財産の分配などの権利は等しくなります。
たとえば、株主総会の決議事項(取締役選任や定款変更など)では、それぞれの持株比率に応じた議決権があり、2人とも50%であればどちらか一方が反対すれば議案は否決される可能性があります。
意思決定が止まるリスク「デッドロック」とは
持株比率が50:50の場合、意見が分かれたときに会社としての意思決定ができなくなる「デッドロック(行き詰まり)」のリスクがあります。たとえば以下のような場面です。
- 事業拡大に伴う増資の是非
- 新たな取締役の選任
- 会社の売却や合併の意思決定
このような状況では、会社の方向性を決める意思決定が不可能になり、事業が停滞する事態になりかねません。
対等な株主でも「役職」や「業務執行権限」は別問題
株主の立場が対等でも、経営上の権限や責任は代表取締役や取締役などの「役職」に基づいて決まります。つまり、Bさんが代表取締役であれば、日常的な業務執行に関する決定権はBさんに集中する可能性があります。
一方、Cさんが役員ではない場合、株主としての重要事項の承認はできても、日々の運営に関しては直接関与しないというケースもあります。
事前に取り決めるべき「株主間契約」や「定款の工夫」
デッドロックを防ぐためには、創業時に以下のような取り決めをしておくことが重要です。
- 株主間契約:意見対立時の優先決定ルールや、第三者への持株譲渡制限、退出ルールなどを明文化
- 定款の工夫:特定の決議に「特別決議」要件を加える、取締役会設置会社にするなど
- キャスティングボートの導入:第三者株主を1人入れて、決定の引き金を持たせる手法
こうした契約・制度設計によって、対立時にもスムーズに解決できる仕組みを作っておくことが重要です。
実際のトラブル事例と教訓
あるスタートアップでは、50:50出資の創業者間で事業方針が対立し、会社運営が完全に停止してしまいました。その結果、外部資金調達も不可能となり、最終的に第三者に持株を譲渡する形で会社を整理する事態となりました。
このような事例からも、共同出資時には「仲が良いから大丈夫」とせず、あらかじめ“意見が割れた時どうするか”をルール化することの重要性がわかります。
まとめ:株主としては平等でも、実権や決定権は別次元
BさんとCさんが株を50%ずつ持っていれば、基本的な株主権は対等です。ただし、会社の意思決定や経営権は株主比率だけで完結しない点に注意が必要です。創業時にこそ、契約や役職、議決の仕組みをしっかりと設計し、後のトラブルを未然に防ぐ体制づくりが求められます。

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