ジュニアNISA解約後の資金を親名義で運用する際の注意点と税務リスク

資産運用、投資信託、NISA

2023年末をもって新規受付を終了したジュニアNISA制度。解約後の資金をどう活用するか悩んでいるご家庭も多いのではないでしょうか。本記事では、ジュニアNISA解約後の資金を親のNISA口座で運用する際の税務上の注意点や問題となり得るポイントをわかりやすく解説します。

ジュニアNISA解約後の資金は誰のものか

まず基本として、ジュニアNISA口座は「未成年者本人の名義」であり、そこにある資産は「子どもの所有物」です。したがって、解約して出金した資金も原則として子どもの財産であることを忘れてはいけません。

親がその資金を自由に使ったり、自身の投資に使ったりする場合、形式上は「子から親への贈与」と見なされる可能性があります。税務署に贈与と判断されれば、金額によっては贈与税の課税対象になるリスクがあります。

年間110万円以内の移動であれば非課税だが…

贈与税には「年間110万円まで非課税」の基礎控除があり、この範囲内であれば贈与税は発生しません。つまり、子の資金を親名義の口座に移す場合、年間110万円以下であれば基本的に税務上問題は生じにくいとされています。

ただし、継続的に毎年贈与を行っている場合や、契約書など贈与の証拠がない場合は、税務署に「贈与そのものを否認」されたり、親の資産とみなされたりする可能性があります。金額が少額でも注意が必要です。

親のNISA口座で投資することのリスク

たとえ贈与税の基礎控除内で資金を移したとしても、それを親のNISA口座で運用するとなると、資産形成の果実(配当や売却益)は親のものになります。つまり、形式的には「子の資産を親が活用して利益を得ている」ことになり、税務調査で問題視される可能性も否定できません。

また、NISA制度はあくまでも「本人の資産運用を非課税にする制度」であり、他人の資金を使っていることが発覚すれば、制度利用の適正性が疑われることもあります。

資産を子どもの名義で運用し続ける選択肢

子どもの資産は原則として「子の名義で運用」するのが理想です。たとえば、ジュニアNISA終了後でも証券口座に資金を残し、通常の未成年口座で継続運用することは可能です。

また、18歳以上であれば親とは別の新NISA口座(つみたて+成長投資枠)を本人名義で開設できるため、あくまで子の資産として、本人名義での運用を検討するのも一案です。

もし親名義で運用したい場合の対策

どうしても親名義のNISA口座で運用したい場合は、まず年間110万円以内に収めることが前提です。そのうえで、できれば「贈与契約書」を作成しておくことをおすすめします。

贈与契約書には以下のような内容を明記します:

  • 贈与者(子)と受贈者(親)の氏名・住所
  • 贈与金額とその目的
  • 日付と署名

税務署に万が一調査された場合、この契約書があることで「形式的な名義移転ではない」ことの証拠になります。

まとめ:税務リスクを理解して正しい手続きを

ジュニアNISA解約後の資金を親名義のNISA口座に移すことは、慎重に行わなければ税務上のトラブルを招く可能性があります。少額であっても形式に注意し、「子の資産は子の名義で運用する」という原則を基本にするのが安全です。

贈与税の非課税枠や契約書など、ルールに沿って透明性を持った運用を行い、将来のリスクを回避しましょう。

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