日本のバブル期、特に1989年末に日経平均株価が史上最高値38,915円を記録したというニュースは、株式市場の話題で今でもたびたび引用されます。しかし、当時の38,000円と現在の38,000円は、インフレや購買力の変化を考慮すれば「同じ価値」ではありません。この記事では、物価変動や実質価値の観点から、過去の株価を現代に換算して考える方法とその意味を解説します。
バブル期と現在の株価を単純比較できない理由
株価を比較する際に忘れてはならないのが「貨幣の時間的価値」です。バブル期である1989年と現在では、物価も所得水準も大きく異なります。例えば、1989年には缶コーヒーが100円前後だったのに対し、現在では130円〜160円が一般的です。
株価を単純に同じ水準で比較することは、1ドルが360円だった時代と今の1ドル150円時代を同列に語るのと同じで、実態を正しく反映しません。
インフレ率を使って実質価値を計算する方法
もっとも一般的な換算方法は、消費者物価指数(CPI)を用いて、過去の金額を現在価値に直すというものです。たとえば1989年と2024年を比較すると、累計のインフレ率は約35%前後です(日本銀行や総務省統計局データより)。
この数字をもとに、1989年の株価38,915円を2024年の実質価値に換算すると、約52,000円程度になります。つまり、現在の日経平均が38,000円台であっても、実質的にはまだバブル期を超えていないという見方ができます。
感覚的に「28,000円くらいでは?」は正しいのか
ネットなどで「今の株価38,000円は実質28,000円くらいの価値では?」という声も見かけますが、それはむしろ逆で、当時の38,000円が今で言うと52,000円程度という考え方が妥当です。
したがって、今の38,000円はインフレ調整後の「バブル時の水準」には届いていないということになります。このような誤解は、名目値と実質値の混同から起きていると考えられます。
米国株と比較するとわかる実質成長の差
参考までに、米国のS&P500指数は1989年末に約350ポイント、2024年現在では5,000ポイント超えとなっており、名目でも実質でも大幅に上昇しています。日本株が名目では戻してきたように見えても、実質では出遅れていることがわかります。
この差は、経済成長率や企業収益力、イノベーション、人口動態など多くの要素に起因しています。
投資判断における実質価値の重要性
過去の水準を「目安」として見るのはよくあることですが、インフレ調整をしない比較は誤解を生みやすく、投資判断を誤らせる原因にもなります。投資家として重要なのは、実質的な企業価値、収益性、成長性などを含めて判断することです。
過去の株価水準をインフレ調整せずに語ると、本当の到達点が見えなくなります。
まとめ:名目株価と実質株価の違いを意識しよう
1989年の38,915円という日経平均の史上最高値は、2024年現在の物価水準で換算するとおよそ52,000円に相当します。したがって、現在の38,000円台は、名目的には「バブル超え」に近づいていますが、実質的にはまだ道半ばと言えるでしょう。
過去との比較は大切ですが、インフレ率を考慮することで、より正確な投資判断が可能になります。

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