経済学を学ぶうえで、市場の構造は重要なテーマです。中でも「不完全競争」と「寡占」という概念は混同されやすく、それぞれの意味や違いを明確に理解しておくことが求められます。本記事では、不完全競争と寡占の違いを具体的な事例を交えて解説し、経済の実社会でどのように反映されているのかを紹介します。
不完全競争とは何か?その特徴を整理する
不完全競争とは、完全競争市場の理想条件が満たされていない市場構造の総称です。これは、現実のほとんどの市場が該当する形態であり、次のような特徴があります。
- 企業が価格決定力を持つ
- 参入障壁がある
- 製品が差別化されている
たとえば、飲料業界や化粧品業界などは、製品ごとにブランドやパッケージが異なることで差別化されており、企業が自由に価格を設定できるため、不完全競争に分類されます。
寡占とは何か?不完全競争の一類型としての位置づけ
寡占(オリゴポリー)は、不完全競争の一種で、少数の企業によって市場が支配されている状態を指します。主な特徴は以下の通りです。
- 少数の企業が市場シェアの大部分を握る
- 各企業が互いに価格や生産量を意識して行動する
- 価格競争よりも非価格競争(広告やサービス)が多い
代表的な例としては、日本の通信業界(三大キャリア)や自動車産業などが挙げられます。
不完全競争と寡占の違いを一覧表で比較
項目 | 不完全競争 | 寡占 |
---|---|---|
市場参加者数 | 少数~多数 | 少数(2~数社) |
製品の差別化 | あり | あり(またはなし) |
価格決定力 | あり | 強い |
市場支配の度合い | 中程度 | 高い |
このように、寡占は不完全競争に含まれる概念でありながら、より特定の条件下にある市場構造といえます。
現実の市場に見る不完全競争と寡占の実例
不完全競争の例:スターバックスやドトールのようなカフェチェーンは、店舗の立地、内装、メニューなどで差別化を行い、価格決定力を持っています。
寡占の例:日本の航空業界ではANAとJALが二大勢力として市場を分け合い、価格やサービス競争はあるものの、新規参入は非常に困難です。
寡占市場における価格戦略とその影響
寡占市場では、企業間での価格調整(暗黙の協調)や、価格競争を避ける戦略が見られます。これは、価格を下げれば他社も追随し、利益が減少するためです。
そのため、価格の変動が少ない一方で、顧客へのアプローチとしてブランド力の強化や付加価値サービスが重視される傾向があります。
まとめ:経済学における市場理解の基礎として
不完全競争は完全競争の理想から外れた市場全体を指し、その中に寡占という特定の状態が存在しています。市場に関わるあらゆる企業活動を理解するうえで、この2つの概念を明確に区別しておくことは非常に重要です。
経済学の基本をしっかり押さえ、現実の市場にも目を向けることで、より深い理解が得られるでしょう。

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