CAPMを使った期待リターンの計算方法:実例と解説

株式

ファイナンスの基本理論であるCAPM(資本資産評価モデル)は、株式の期待リターンを計算するための有用なツールです。リスクフリーレートや市場全体のリターン、個別株式のベータ値などの情報を基に、期待リターンを求めることができます。この記事では、CAPMを用いた期待リターンの計算方法を解説し、具体例を使ってわかりやすく説明します。

CAPM(資本資産評価モデル)とは?

CAPMとは、株式や資産の期待リターンを算出するモデルで、市場のリスクプレミアムと資産固有のリスク(ベータ値)を基に計算します。投資家は、この期待リターンを基にリスクとリターンのバランスを評価します。

CAPMの基本式は以下の通りです。

期待リターン = リスクフリーレート + ベータ ×(市場の期待リターン – リスクフリーレート)

CAPMの計算に必要なデータの解説

CAPMで期待リターンを計算するためには、以下のデータが必要です。

  • リスクフリーレート(無リスク資産の利率)
  • 市場の期待リターン
  • ベータ(株式と市場全体の相関度合い)

例えば、質問の例では次のようなデータが提供されています。

リスクフリーレート 0.83%
市場の期待リターン -2.42%
ベータ 0.74

CAPMを使った具体的な計算例

上記のデータを使い、A社の期待リターンを求めます。CAPMの式に当てはめると次のようになります。

期待リターン = 0.83% + 0.74 × (-2.42% – 0.83%)

計算手順。

  1. まず、市場リスクプレミアムを計算します。これは市場の期待リターンからリスクフリーレートを引いたものです。
  2. 次に、このリスクプレミアムにベータを掛けます。
  3. 最後に、リスクフリーレートに加算して期待リターンを求めます。

この計算により、A社の期待リターンを導き出すことができます。

CAPM計算結果の解釈とリスク管理

CAPMで得られる期待リターンは、A社に対する投資リスクと見返りを反映しています。このリターンがプラスであれば、理論上その銘柄はリスクに見合うリターンが期待できると考えられます。

一方、期待リターンがマイナスとなる場合、リスクに対して得られるリターンが低い可能性があるため、投資を再考する材料となります。

CAPMの限界と他の評価方法

CAPMはシンプルで使いやすいモデルですが、常に正確なリターンを保証するわけではありません。市場の期待リターンやベータの信頼性によって、実際のリターンが異なる可能性がある点に留意する必要があります。

他にも、Fama-Frenchモデルなど、複数の要因を考慮したモデルが存在し、リスク評価をより細かく行いたい場合には、これらのモデルも検討するとよいでしょう。

まとめ:CAPMを理解して投資の判断材料に活用

CAPMを使えば、リスクとリターンを定量的に把握することが可能です。リスクフリーレート、市場の期待リターン、ベータを用いて計算し、株式の期待リターンを予測することで、より計画的な投資判断が可能となります。

ただし、あくまで参考値として活用し、他の要素も考慮してリスクを適切に管理することが重要です。

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