S&P500に代表されるインデックス投資は「長期・積立・分散」が基本とされ、数十年にわたって資産形成を目指す投資家が多くいます。では、投資を始めて40年後に多くの人が一斉に換金しようとした場合、市場は暴落するのでしょうか?本記事では、その疑問に対し経済・金融の仕組みを交えながらわかりやすく解説します。
一斉売却で市場は崩壊するのか?
「多くの人が40年後に一斉に売る=暴落する」と考えるのは自然ですが、現実には市場全体が一斉に同じ行動を取ることはほぼありません。年齢層、目的、資産状況、タイミングが異なるため、売却の波は分散されるのが通常です。
また、S&P500に連動するファンドには、新たに投資を始める人、積立を継続する若い世代も多く存在し、売り手と買い手のバランスが常に保たれようとします。
米国経済の成長と企業の収益力が下支え
S&P500は米国の代表的な上場企業500社で構成されており、長期的には企業の成長、イノベーション、消費の拡大に支えられてきました。株価は短期的には上下しますが、長期的には企業の利益成長に沿って上昇してきたという歴史があります。
つまり、引き出される資金以上に、米国企業が生み出す価値が市場の価値を押し上げているのです。
退職後も資産を一括売却しない人が大半
仮に定年退職のタイミングが重なったとしても、多くの人はその時点で資産の全てを現金化するわけではありません。むしろ、必要な分だけを定期的に引き出す「取り崩し型」運用を行う人が多数です。
たとえば「4%ルール」に従い、年間生活費の4%程度を引き出すといった形が一般的で、これにより市場へのインパクトは軽減されます。
分配構造が複雑に支える投資の継続性
ETFや投資信託といった金融商品の仕組みも重要なポイントです。ファンドが売却されると、そのファンドの運用会社が市場で現物株を売る必要がありますが、流動性の高いS&P500構成銘柄は影響が出にくい設計です。
また、米国の401(k)やIRAなど、長期の制度型投資が背景にあるため、投資資金は常に一定量流入し続けています。
過去の実例:引退世代の波と市場への影響
米国では「団塊の世代(ベビーブーマー)」が2010年以降次々と退職を迎えました。しかし、それによりS&P500が暴落した事実はありません。なぜなら、
- 若年層の投資拡大
- 制度型投資(401(k)など)の継続
- 企業利益の成長
など、需給バランスを支える要素が豊富だったからです。
まとめ:S&P500が暴落しないのは投資と経済の構造があるから
- 売却のタイミングは人によって異なるため一斉売却は起きにくい
- 経済成長が企業価値を底上げして株価を支えている
- 資金流入・取り崩しのバランスが長期的に機能している
- 制度的な仕組みと流動性が市場を安定化させている
将来的にどのような環境が訪れても、構造的に支えられている限り、S&P500が暴落する可能性は極めて限定的といえます。投資を継続する上で、歴史と仕組みを理解しておくことは大きな安心材料になるでしょう。

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