物価上昇や円安が続く中、「今の日本は景気が良いのか悪いのか」が話題になることが増えています。企業は過去最高益を更新する一方で、個人の生活は苦しい──このギャップをどう理解すればよいのでしょうか。本記事では、データと実情から“今の景気”をわかりやすく解説します。
景気が良いか悪いかを判断する指標とは
まず「景気」とは、経済全体の動きや勢いを表す言葉です。判断するには、主に以下の経済指標が使われます。
- GDP成長率(国内総生産)
- 失業率
- 物価上昇率(インフレ率)
- 企業の業績や景況感
- 賃金の上昇率
例えば、GDPが伸びて企業が利益を上げ、雇用も増えているなら「好景気」と言えます。しかし、物価が上がっても賃金が追いつかなければ、生活者にとっては「不景気」と感じられるのです。
円安と企業業績の関係:輸出企業は潤うが家計は苦しい
近年の日本は、円安の影響でトヨタやソニーなど輸出型企業が過去最高益を記録しています。これは、海外での売上を円換算すると利益が膨らむためです。つまり、企業視点では「好景気」と言える状況です。
一方で、輸入品の価格上昇により食料・エネルギー・日用品のコストが急上昇。家計の支出は増えるのに、賃金上昇が追いつかない「スタグフレーション」に近い状態となっています。これが、多くの人が“景気が悪い”と感じる理由です。
賃金の上昇と実質賃金の違い
企業がベースアップを実施しても、物価上昇率がそれを上回れば実質的な購買力は下がります。たとえば、名目賃金が2%上がっても、物価が3%上がれば実質賃金はマイナス1%です。2024年時点では、実質賃金が20カ月以上連続でマイナスという状況が続いており、これは「好景気」とは言い難い現実を示しています。
デフレ時代との比較:物価が安くても安心ではない
質問の中に「まだデフレの方がマシ」とありますが、デフレにも問題があります。物価が下がると企業の利益が減り、賃金が上がらないどころか雇用が不安定になります。長期的に見ると、経済の活力が失われるリスクがあるのです。
現在の日本は「物価が上がるのに賃金が追いつかない」という“悪いインフレ”が起きているため、デフレと比較しても生活の実感は厳しいものになっています。
政府・日銀の政策と今後の見通し
政府は賃上げ促進税制やエネルギー補助金で家計支援を進めています。また、日銀は金融緩和を段階的に修正し、円高方向への動きを模索しています。これが進めば輸入コストが下がり、物価上昇が落ち着く可能性があります。
一方で、賃金上昇が持続しなければ消費は伸びず、企業も再びコスト削減に走るリスクがあります。したがって、真の意味での「好景気」にはまだ距離があると言えるでしょう。
まとめ:数字上の好景気と生活実感のギャップ
現在の日本経済は、企業業績の面では「好景気」、家計の実感では「不景気」という二面性を持っています。円安の恩恵を受ける層と打撃を受ける層の差が拡大しており、個人が感じる“体感景気”は一様ではありません。
つまり、「景気が良い・悪い」は立場によって異なるのです。今後は物価と賃金のバランスを取る政策が進むかどうかが、日本経済の本当の分岐点になるでしょう。
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