地方から若者が都市へ移動することで「地方で育てた人材が都市で稼ぎ、地方にお金が戻らない」と感じる方も多いでしょう。この記事では、地方の人材流出と地域経済の関係をマクロ経済・人的資本の視点から整理し、この「お金の循環が外へ出る」という構図は果たして正確かを考察します。
なぜ地方から人材が流出するのか:人的資本と地域間格差の視点
日本では、地方において若年層の流出・人口減少が続いており、特に高卒者が地元を離れて就職・転居する傾向が強まっています。([参照]地域課題分析レポート(内閣府))
また、地域間での労働生産性・賃金水準の差が、若者の都市移動を促す背景になっており、地方の人的資本(教育レベル・スキル)格差が地域経済の停滞要因にもなっています。([参照]地域間の人的資本格差と生産性)
「地方で育てた人材がそのまま都市へお金を運ぶ」の構図をどう見るか
例えば、0歳~18歳まで地方で育った子が、高卒後に都市へ移り住み就職したケースでは、地方の教育・インフラ・公共サービスに使われた費用が回収されずに都市で稼がれてしまうというイメージも生まれます。
ただし、実際にはその構図だけで「地方が損をする」「都市が一方的に得をする」と断じるのはやや単純で、以下のような要素も考慮が必要です。
- 地方から都市へ移動した人が地方に仕送り・関係を維持するケース:故郷での消費・帰省・資産購入などによる還流可能性。
- 地方自治体・政府からの交付金・補助金など「都市から地方」への資金移動:地方創生交付金など、地元に財政的な仕組みが設けられています。([参照]都市部と地方のどちらが豊かなの?統計データから地域格差を考える)
地方にお金が残らないという見方の限界:循環と再投資の視点から
「地方で育った人が都市に出る=地方からお金が出ていくだけ」という構図には、次のような限界があります。まず、地方で育った人材が都市で稼いだ収入の一部が、地方での消費・税・帰省・移住などを通じて地域に還元される可能性があります。
さらに、地方における公共教育・インフラ投資などが「人材という資産」を生み、それが都市でも活躍することで、出身地のブランディングや後進育成、地元企業の技術引き継ぎにつながるケースもあります。つまり、地方の“投資”が必ずしも回収できないどころか、長期的に地域価値を高める可能性もあるのです。
政策的な視点:地方創生・交付金・地域間格差是正の動き
政府は地方から都市への一極集中を是正し、地域間格差を縮小するために「地方創生」を国家戦略として掲げています。([参照]統計データから見る地域格差)
例えば、地方の最低賃金の底上げ・地域の産業振興・Uターン・地元企業への支援などが進められており、“育てた人材を地域に還流させる仕組み”を構築することが地域経済の循環にとって鍵となっています。([参照]東京と地方で広がる生産性格差)
まとめ
結果として、地方で育てた人材が都市へ流出することで「一方向にお金やスキルが移動してしまう」という感覚は一定の実態を反映しています。しかし、地方経済にとっては“完全な出費”ではなく、人材育成・地域ブランド・還流の可能性・政策的な補填なども含めた「資産としての循環」を考えるべきです。
つまり、地方が毎年「人材を課金して送り出すだけ」という構図に陥るかどうかは、地域が育成した人材をどう地域に還流させ、地域経済にどう活かすかという仕組み作りにかかっています。
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