株式投資において、「日経225から毎日適当に銘柄を選び、寄付と引けで売買すれば日経平均より儲かるのでは?」というアイデアに惹かれる方は少なくありません。たしかに理屈上は信託報酬が不要で、うまく運用できればメリットがあるようにも思えます。しかし、現実はそう甘くはありません。
この戦略の基本的な仕組みとは?
この戦略は、日経平均株価(225種)のうち、毎日ランダムに1〜数銘柄を選び、午前9時に成行で買い、午後3時25分に売るという、いわゆる“ザラ場内デイトレード”の一種です。
一見すると合理的にも思えます。というのも、インデックス投資にかかる信託報酬(0.1〜0.5%程度)が不要になるうえ、個別株の値動きによっては平均を超えるパフォーマンスが得られる可能性があるからです。
手数料が“無料”だから得?実は隠れコストがある
ネット証券では売買手数料が無料化されていますが、それは約定時の「取引手数料」だけです。実際にはスプレッド(買値と売値の差)や市場インパクトコストなど、目に見えないコストが発生しています。
また、1日2回の売買を年間で実行すれば、約250営業日×2=500回もの取引が発生し、スプレッド損失が積み重なれば大きなマイナスになります。
寄付と引けの売買は機関投資家も狙っている
多くのプロ投資家やアルゴリズムトレーダーは、寄付や引けに特定の値動きを仕掛けることがあります。特に午後3時の大引けは、インデックスファンドのリバランス取引などが集中し、価格が一時的にゆがむことがあります。
初心者がこのような高度な市場環境に“適当に”飛び込んでしまうと、思わぬ逆風に巻き込まれるリスクがあります。
過去のバックテスト事例:日経225ランダム投資
過去にこの手法に類似したバックテストが行われたことがあります。例えば、2015年〜2020年のデータを使って、毎営業日ランダムに日経225の1銘柄を選んで寄付買い・引け売りを繰り返した結果、年率換算でプラスになった年は2年のみという結果もあります。
理由は主に、取引コストの蓄積と日中の値動きのランダム性が影響しています。つまり、“適当な選定”では安定した成績を上げるのは非常に困難なのです。
実例:デイトレード初心者が陥った失敗
20代の会社員Bさんは、2023年にこの戦略を自己流で実施。SBI証券のゼロ手数料を活かし、毎朝1銘柄を買って引けで売却しましたが、1年で約15万円の損失。
原因は、相場の方向性を無視した銘柄選定と、引けの流動性不足による不利な価格約定でした。
なぜインデックスファンドが推奨されるのか
結論から言うと、初心者が日経平均に勝つのは極めて難しいです。特に“適当に選んで毎日売買”では、統計的にも大多数が負けます。
その点で、日経225連動型のインデックスファンドやETF(たとえば<日経225連動型上場投信:1321>)は、低コスト・分散投資・長期的に安定したパフォーマンスを実現できる堅実な選択肢です。
まとめ:毎日売買は“手間のかかるギャンブル”になりがち
理論的に「信託報酬がかからない分だけ得する」ように思えても、実務的には売買タイミング、スプレッド、心理的ストレス、継続性などの課題が山積みです。
初心者が株で資産形成したいなら、インデックス投資の王道を理解した上で、積立投資を軸に中長期目線で資産を育てることが、結局もっとも効率的で安全な道といえます。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
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