企業が自己株式を取得する際、東京証券取引所が提供する「ToSTNeT-3(トストネット・スリー)」という取引制度が活用されています。これは、発行会社が自社株を市場外で取得するための専用取引であり、株主との取引を効率的かつ公正に行うことを目的としています。
ToSTNeT-3の基本的な仕組み
ToSTNeT-3は、東京証券取引所が提供する立会外取引の一種で、自己株式取得専用の制度です。発行会社が買い手となり、売り手は市場参加者となります。取引価格は原則として前営業日の終値で固定され、売付注文が買付数量を超える場合は、東証が定める按分方式により配分されます。
この制度を利用することで、企業は市場価格に影響を与えることなく、計画的に自己株式を取得することが可能となります。
利用手続きとスケジュール
ToSTNeT-3を利用する際の一般的な手続きは以下の通りです。
- 買付日の前営業日に、発行会社が東証に対して取引の届出を行います。
- 買付当日の午前8時から8時45分の間に、売り手が売付注文を出します。
- 売付注文が買付数量を超えた場合、按分方式で配分され、取引が成立します。
このように、短時間で取引が完了するため、企業にとっては迅速かつ効率的な自己株式取得手段となっています。
企業がToSTNeT-3を活用する理由
企業がToSTNeT-3を利用する主な理由は以下の通りです。
- 市場価格への影響を最小限に抑える:市場内で大量の自己株式を取得すると、株価に影響を与える可能性がありますが、ToSTNeT-3を利用することでそのリスクを軽減できます。
- 迅速な取引の実現:取引が短時間で完了するため、企業の資本政策を迅速に実行できます。
- 公正な取引の確保:按分方式により、売り手に対して公平な配分が行われます。
これらの利点により、多くの企業が自己株式取得の手段としてToSTNeT-3を選択しています。
実際の活用事例
例えば、ある企業では、資本効率の向上を目的として、ToSTNeT-3を利用して自己株式を取得しました。具体的には、前営業日の終値である1,500円で、100,000株を取得する計画を立て、買付当日に売付注文を募集しました。結果として、売付注文が買付数量を上回ったため、按分方式で配分が行われ、計画通りの株式数を取得することができました。
このように、ToSTNeT-3を活用することで、企業は市場価格に影響を与えることなく、効率的に自己株式を取得することが可能となります。
まとめ
ToSTNeT-3は、企業が自己株式を効率的かつ公正に取得するための有効な手段です。市場価格への影響を最小限に抑えつつ、迅速な取引を実現できるため、多くの企業が資本政策の一環として活用しています。今後も、企業の自己株式取得手段として、ToSTNeT-3の利用が広がっていくことが期待されます。

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