「信用創造」は金融の基礎概念の一つですが、最初は少し難しく感じるかもしれません。この記事では、ある具体的なシナリオを使って、どのように信用創造が行われ、最終的にどれほどのマネーが生まれるのかをステップごとに解説します。
信用創造とは何か?
信用創造とは、銀行が預かったお金を貸し出すことで、実際の通貨よりも大きな経済効果(マネー供給)を生み出すプロセスのことです。これは銀行が部分準備制度に基づき、一部の預金を手元に残し、残りを貸し出すことで起こります。
たとえば100万円の預金があると、銀行はそのうちの一定割合(例えば20%)を準備金として手元に残し、残りを貸し出します。貸し出されたお金が再び預金されると、またその一部が貸し出されるという流れが繰り返されます。
具体的な問題の設定
今回の問題設定は以下の通りです。
- Aさんが100万円を銀行に預ける
- 銀行は2割(20%)=20万円を準備金にし、残り80万円をE企業に貸し出す
- E企業は給料として支払い、労働者が4割(40%)を預金する
- 銀行はこの預金の2割を手元に残し、残りを貸し出す
- このプロセスが繰り返される
このような連鎖でマネーが増えていくプロセスが信用創造です。
計算に必要な係数の整理
この問題では、信用創造額を求めるためにマネー乗数(信用乗数)の概念を利用します。乗数は以下のように求められます。
信用乗数 = 1 / (預金準備率 × 預金の非預金化率)
ここで、預金準備率=20%=0.2、労働者の預金率=40%=0.4 → 非預金化率=1 – 0.4=0.6
よって、信用乗数 = 1 / (0.2 × 0.6) = 1 / 0.12 = 約8.33
信用創造額の算出
初期預金額が100万円なので、
信用創造額 = 100万円 × 8.33 = 約833万円
つまり、Aさんの預けた100万円を起点に、最終的には833万円分のマネーが創造されたということになります。
実例でより深く理解しよう
たとえば、Aさん→銀行→E企業→労働者B→銀行→F企業→労働者C…という形で資金が何度も預金→貸出→消費→預金と循環していきます。
この連鎖が続く限り、預金から生まれる経済効果は雪だるま式に増えていきます。ただし現実には、手元に残す率や消費率が変わるため、計算通りには進まないこともあります。
まとめ:信用創造の力を理解しよう
信用創造は金融政策や銀行業務を理解するうえで非常に重要な概念です。今回のケースでは、2割の準備率と4割の預金率により、100万円の預金が約833万円のマネー供給に繋がる可能性があることがわかりました。
金融の世界ではこのようにして、実際の通貨以上にお金が流通していることを理解しておくと、経済全体を俯瞰する視点が養われます。

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