日鉄が米国政府に差し出す“ゴールデンシェア”とは?USSの株式構造と支配権の仕組みを解説

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日鉄(Nippon Steel)によるUSS(U.S. Steel)買収に伴い、米国政府が保有する「ゴールデンシェア」の意味について誤解が散見されます。本記事では、「日鉄の黄金株」ではなく、「USSのゴールデンシェア」の仕組みである理由と、その法的・実務的意義をわかりやすく解説します。

「ゴールデンシェア」の基本と目的

ゴールデンシェアとは、通常の株式とは異なり、重大な経営判断(役員選任・工場閉鎖・輸出・合併など)に対して拒否権(拒否権行使)を伴う特別株式のことです。

USSの場合、米政府が買収または合併後の重要意思決定に対して国防・安全保障に影響する判断を制御できる仕組みとして使われます :contentReference[oaicite:0]{index=0}。

「日鉄の株」ではなく「USSの株」である理由

日鉄はUSS社株を取得し完全子会社化を目指しますが、「ゴールデンシェア」はあくまでUSS発行の特殊株です。これは主に合併や買収の条件として、USS株主や買収先企業には与えられません。

つまり米政府が行使するのは、自国企業(USS)の経営維持・安全保障確保のためのガバナンス権であり、日鉄への対抗策ではないのです :contentReference[oaicite:1]{index=1}。

米政府が「51%支配」と発言する意味

トランプ前大統領は「政府が51%支配している」とゴールデンシェアの効力を示唆しましたが、これは比喩的な表現です。実際にはUSS株の発行総数に占める割合ではなく、合併・重要判断への拒否権という実質的な支配力を強調したものです :contentReference[oaicite:2]{index=2}。

つまり株式比率が51%というより、重要事項の決定時に「政府が反対すれば拒否できる」という構造を指します。

ゴールデンシェア導入の背景と法的根拠

この制度はCFIUS(対米外国投資審査委員会)による買収審査の一環として採用されたものであり、国家安全保障上の懸念を軽減するために導入されます :contentReference[oaicite:3]{index=3}。

ゴールデンシェアの導入により、USS拠点の国内維持、労働者の保護、安全保障関連の技術管理、米国内供給網の維持などが制度的に保証されやすくなるのが狙いです。

まとめ:日鉄株ではなくUSS株の特別株式である

結論として、「日鉄が米国政府に差し出すのはUSSのゴールデンシェアであり、日鉄株ではありません」。米政府が保有するのはあくまでUSS発行の特殊株で、USSの重要な経営判断への拒否権付き支配権を担保するものです。

その結果、日鉄による買収後も米国の安全保障上不可欠とされる意思決定には、政府側が関与・制御できる枠組みが成立する形となります。

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