独占市場に供給曲線は存在する?完全競争市場との違いからわかる価格と供給の関係

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経済学では、市場構造が価格や供給量にどのような影響を与えるかを理解することが重要です。特に「完全競争市場」と「独占市場」では、企業の価格設定や供給行動が大きく異なります。本記事では、独占市場における供給曲線の存在や、完全競争市場との違いをわかりやすく解説します。

完全競争市場における供給曲線の特徴

完全競争市場では、多数の売り手と買い手が存在し、個々の企業は市場価格を受け入れる「価格受容者」として行動します。そのため、価格が上昇すれば供給量も増えるという関係が成り立ち、供給曲線は右上がりになります。

例えば、小麦農家が多数存在する市場では、市場価格が高ければ多くの農家が生産を増やし、価格が下がれば生産を抑えるため、供給曲線が右上がりとなるのは自然です。

独占市場には「供給曲線」が存在しない理由

一方で独占市場では、唯一の供給者(独占企業)が価格と供給量を戦略的に決定します。この企業は市場価格を「設定する側」であり、需要とコストを同時に考慮して最適な利潤を得るための価格と数量を決めます。

したがって、「ある価格ならこれだけ供給する」というような独立した供給曲線は存在しません。価格と供給量は固定的な関係ではなく、需要の状況に応じて変化するからです。

グラフで見る完全競争と独占の違い

完全競争市場の供給曲線は、縦軸に価格・横軸に数量を取ったとき右上がりになります。一方、独占市場では、「限界収入」と「限界費用」の交点で生産量が決まり、そのときの需要曲線から価格が決まるため、供給曲線のような明確な線は引けません。

つまり、需要の変化に応じて独占企業は価格と供給量を柔軟に調整し、特定の「供給関数」には従わないのです。

例で考える:電力会社の独占と価格設定

かつて日本の地域電力会社は独占的に電力を供給していました。需要が高まっても、企業は一律の料金体系の中で供給量を調整していたため、価格が高いからといって単純に供給量を増やすわけではありませんでした。

これは、電力のようにインフラ整備に固定費がかかる業種では典型的な独占の性質を示しており、供給曲線的な挙動とは異なります。

「供給曲線=右上がり」という思い込みの落とし穴

経済学の初歩で学ぶ「供給曲線が右上がり」という概念は、あくまで価格受容者が存在する完全競争市場に限定された話です。独占・寡占市場では、企業が価格と数量を同時に選択するため、供給曲線という概念が成立しません

この違いを理解していないと、企業の戦略や政策の分析を誤る可能性があるため、注意が必要です。

まとめ:独占市場に「供給曲線」は存在しない

完全競争市場では、価格に応じて供給量が決まるため、供給曲線が右上がりになります。しかし、独占市場では価格と供給量を同時に最適化するため、供給曲線という独立した概念は存在しません。

この違いは、価格戦略や市場構造を理解する上で非常に重要なポイントです。経済学を学ぶ上では、この基本的な違いをしっかり押さえておくことが、より深い理解につながります。

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