仮想通貨の税金と損益通算の仕組みをわかりやすく解説|長期保有者が利確する前に知るべきポイント

資産運用、投資信託、NISA

仮想通貨に投資して数年、ようやくプラスに転じたものの「税金が怖くて利確できない」という方も多いのではないでしょうか。今回は、過去に損失があり、ようやく含み益が出てきたケースを例に、仮想通貨にかかる税金の基本と、損益通算の考え方をわかりやすく解説します。

仮想通貨の税金は「雑所得」扱い

ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨で利益が出た場合、日本では基本的に「雑所得」として課税されます。これは給与所得などと合算され、総合課税として扱われるため、所得が多いほど税率が高くなります(5〜45%)

さらに住民税(10%)もかかるため、最大で55%近い税率になることもあります。特に高所得者にとっては影響が大きいため注意が必要です。

損益通算はできる?過去の損失はどう扱われるか

残念ながら、仮想通貨における損益通算は制限されています。株式やFXとは異なり、損失の繰越控除(3年)などの制度は現状ありません(2025年以降に制度変更の可能性あり)。

つまり、たとえ過去に300万円の損を出していても、それを翌年の利益と相殺することはできません。あくまでその年の1月1日〜12月31日までに発生した利益が課税対象になります。

事例:300万円の投資 → 200万円に減少 → 500万円に回復したら?

このようなケースでは、現時点の評価額が500万円であっても、利確時の取得単価を正確に把握することが重要です。たとえば。

  • 2019〜2023年:累計300万円分を購入
  • 2024年:200万円の評価額から価格上昇で500万円へ
  • 2024年:300万円分を利確

この場合、利確する300万円が元本相当であれば利益ゼロであり、税金は発生しません。ただし、仮想通貨は「移動平均法」または「総平均法」で取得価格を算出する必要があるため、取引履歴の保管が不可欠です。

利益があると判断される条件

「利確=売却や他通貨への交換」を行ったときに、取得価格より高く売れたとみなされると、その差額が課税対象になります。

たとえば、平均取得価格が1BTC=300万円で、現在の価格が1BTC=500万円のとき、0.5BTCを売ると100万円の利益が出ると判定され、税金が発生します。

節税のために知っておきたい工夫

  • 年末の価格下落時に売却を見送る:利益確定のタイミングで税額が変動
  • 少額で段階的に利確:課税所得を抑えて税率を下げる
  • 仮想通貨の損失は早めに処理:将来の制度変更に備えて記録しておく

まとめ:利確の判断は取得価格と利益の有無で決まる

仮想通貨においては、「入金額=取得価格」とは限らないため、正確な損益計算が必要です。今回のように長期保有でようやく回復したケースでは、過去の損失は税務上反映されないことが多く、利確時点での利益が課税対象となります。

今後制度変更も予想されるため、定期的に税務ルールを確認しつつ、税理士や仮想通貨に強い専門家に相談するのもおすすめです。

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