経済学の中でも特異な存在として知られる「ギッフェン財」。通常の財とは異なり、価格が下がると消費量が減るという逆説的な特性を持ちます。本記事では、2財代替モデルのもとでx財をギッフェン財、y財を上級財と仮定し、x財の価格が下落したときの消費行動の変化を代替効果と所得効果に分けて視覚的に解説します。また、その関係からx財の需要曲線の描き方についても考察します。
基本設定:2財モデルにおけるギッフェン財と上級財
ここでは消費者が2つの財xとyを消費しており、x財はギッフェン財、y財は上級財であるとします。予算制約は所得I、x財の価格Px、y財の価格Pyによって表されます。
ギッフェン財の特徴は、価格が下がると消費量が減るという点にあります。これは主に所得効果が代替効果を上回るために生じます。
価格下落時の代替効果と所得効果の分解
価格変化による消費行動の変化は、通常、代替効果と所得効果に分解して分析します。
- 代替効果:価格が下がったことでx財が相対的に安くなり、x財をより多く消費しようとする動き。
- 所得効果:価格が下がったことで実質所得が増えたと感じ、x財の消費を増やすか減らすかの効果。
ギッフェン財の場合、代替効果ではx財の消費量が増加するものの、それ以上に負の所得効果が強く働き、結果的にx財の消費量が減少することになります。
グラフによる消費変化の視覚的説明
以下は理論的な説明に用いられる典型的な図解の構成です。
- 横軸にx財、縦軸にy財をとる
- 初期の予算線と無差別曲線の接点がA(初期均衡)
- x財の価格が下がることで予算線が回転し、新たな接点がC
- 仮想的な補償予算線を引いて代替効果の移動点をBとする
このとき、A→Bが代替効果(x財増)、B→Cが所得効果(x財減)です。ギッフェン財ではB→Cの減少幅がA→Bの増加幅を上回るため、最終的にx財の消費量はAからCで減少します。
ギッフェン財の需要曲線の導出
次に、x財の価格と需要量の関係から需要曲線を導出します。通常の財では価格が下がると需要量は増えるため、右下がりの需要曲線になります。しかし、ギッフェン財は価格が下がると需要量が減少するため、右上がりの需要曲線になります。
このような正の相関を持つ需要曲線は、例外的なケースとして経済学でも特異な存在とされています。
実際にギッフェン財が存在するのか?
歴史的にはアイルランドのジャガイモがギッフェン財の例として挙げられていますが、実証的にはほとんど確認されていません。現代では、極端な貧困下で代替品のない必需品などにおいて、ギッフェン的挙動が観測されることがあります。
たとえば、中国のある実証研究では、極度に安価な主食がギッフェン財的な動きを示したと報告されています。
まとめ:ギッフェン財は例外的だが理論的に重要
ギッフェン財の価格が下がると需要量が減る理由は、所得効果が代替効果を上回るためです。この特性を2財モデルで視覚的に理解することで、需要理論の幅広い応用に触れることができます。
通常の財とは逆の需要曲線(右上がり)を持つギッフェン財は、実務ではほとんど見られませんが、経済学の基礎理論としては非常に興味深い存在です。学術的な理解を深めるうえでも、しっかり押さえておきたいテーマです。

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