物価上昇の本当の理由とは?人々の“お金にシビア”な意識と企業の価格戦略の関係を読み解く

経済、景気

「最近、なんでも高くなった気がする」「昔に比べてみんなお金を使わなくなった」――そんな実感を持つ方は多いのではないでしょうか。物価が上がっているのは確かですが、その背景には単なる原材料費の上昇や円安だけでなく、消費者心理や企業の戦略も大きく関わっています。本記事では、人々の“お金にケチになる”意識や“厚利少売”の考え方が、どのように物価上昇とつながっているのかをわかりやすく解説します。

そもそも物価が上がるとはどういうことか?

物価とは、一般的な商品やサービスの価格の平均水準のことです。物価が上がる(インフレーション)とは、同じものを買うのにより多くのお金が必要になる状態を指します。

主な要因には、原材料費の高騰、円安、物流コストの上昇などの供給側のコスト増加があります。また、需要が供給を上回ると価格は上がります。では、人々がお金にシビアになる「節約志向」が強まると、なぜ逆に物価が上がるのでしょうか?

消費者が“ケチ”になると起こる経済の変化

多くの人が「なるべく安く買いたい」「ムダ遣いはしたくない」と考えると、消費は鈍化します。売れない商品が増えると、企業は価格を下げて対応しそうなものですが、最近は逆の戦略を取ることも増えています。

たとえば、販売量が減っても利益を確保するために、「安くたくさん売る(薄利多売)」から「高く少なく売る(厚利少売)」に切り替える企業が増えています。この戦略が広がることで、結果的に市場全体で“単価の高い商品”が増え、平均物価は上昇していくのです。

厚利少売が選ばれる理由とその実例

厚利少売は、需要が縮小する中でも企業が利益を確保するための戦略です。ターゲット層を絞り、「少数のファン」に高品質・高価格の商品を提供するモデルです。

例えば、あるパン屋では以前より客数は減っているものの、1個500円の高級食パンを出すことで利益を維持しています。同様に、コンビニやスーパーでは「プレミアムおにぎり」や「高級チョコレート」の割合が増えているのもこの流れです。

「給料が上がっても消費が増えない」心理とは

過去の高度経済成長期やバブル期とは違い、現在の消費者は「給料が上がったらすぐ使う」という発想をあまり持ちません。将来への不安や、社会保障の負担増、円安や資源高による生活費の上昇が背景にあります。

可処分所得が増えにくい中で、「値段が上がった分だけ支出が増えた」と感じる人は多く、所得が増えても消費が活性化しないという現象が生まれています。

“安く売れない時代”の企業努力と消費者行動

以前であれば、価格競争で「1円でも安く売る」ことが戦略でした。しかし近年は、人件費やエネルギーコストの上昇でそれが難しくなっています。企業は“値上げ”ではなく“実質値上げ”(内容量を減らす)や“高付加価値化”で対応しています。

消費者は「価格」だけでなく「価値」に目を向けるようになってきており、安くて大量に買うよりも、“本当に欲しいものを厳選して買う”傾向が強まっています。このような選択行動が、結果として“厚利少売”を後押しすることになり、物価全体を押し上げる要因にもなっています。

まとめ:物価上昇は単なる「企業都合」ではない

物価の上昇は、単に企業が価格を上げたいから起きるわけではありません。人々の消費スタイルが変化し、企業が生き残るために「売り方」を変えていることも大きな要因です。

「お金にシビアな人が増えた」ことと、「物価が上がる」ことは一見矛盾するように見えて、実は深くつながっています。背景を理解すれば、ニュースや政策の読み方が変わるかもしれません。

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