夫婦でNISAを活用する際に知っておきたい「相続」と「ログイン管理」|もしものときに備える基礎知識

資産運用、投資信託、NISA

夫婦でNISA(ニーサ)を活用している場合、どちらかが亡くなった際に「口座資産はどうなるのか?」「ログイン情報は共有しておくべきか?」という疑問は誰もが抱えるものです。本記事では、NISA口座の相続の取り扱いや、相続税の非課税枠、そして家族間でのID・パスワード管理の現実的な備え方まで、知っておきたい情報を丁寧に解説します。

まず知っておくべき:NISA口座は相続できない

NISAは「個人ごとに非課税枠が与えられる制度」であるため、本人が亡くなった時点でNISA口座は自動的に廃止され、非課税の恩恵も終了します。

つまり、配偶者や家族がNISA口座ごと引き継ぐことはできません。証券会社は死亡の届出を受けると、NISA口座を課税口座に切り替え、その後は相続人が相続手続きの中で資産を分割・移管することになります。

NISAの資産は相続財産として引き継がれる

NISAに入っていた株式や投資信託は、相続財産として評価され、通常の相続と同様に手続きが進みます。遺言書や法定相続に基づき、遺族の口座に移管される流れとなります。

注意点としては、相続時点の評価額(時価)が基準となり、たとえ購入額が安くても、含み益の分も含めて評価される点です。

相続税の非課税枠「1億6000万円」は配偶者控除のこと

「1億6000万円までは税金がかからない」というのは、配偶者に対する相続税の配偶者控除の話です。これは次のどちらか高い方まで相続税が非課税となる制度です。

  • 1億6000万円
  • 法定相続分の金額

たとえば、夫の遺産が1億円で、すべてを妻が相続した場合、相続税は発生しません。

ログイン情報は共有すべき?認証メールの問題

証券会社のログインには、通常ID・パスワードに加えて、登録メールアドレスへのワンタイムパスコードなどが必要です。故人のメールアカウントにアクセスできないと、ログインは事実上不可能になります。

このため、ログイン情報の共有は原則NG(利用規約違反)とされつつも、実務上では生前にパスワード・認証手段・口座の有無などを記録しておくことが、相続手続きの混乱回避に繋がります。

特に、次のような方法が推奨されます。

  • 紙に書いたID・パスワード・メールアカウント情報を封書で保管
  • 「エンディングノート」に金融口座の情報を記録
  • 遺言書に金融資産の分配や口座の記録を添付

証券会社に連絡して正式に相続手続きを進める

ログインができなくても、証券会社に連絡すれば、相続人は正式な手続きで資産の引き継ぎが可能です。必要な書類は通常、以下のようになります。

  • 被相続人の死亡診断書または除籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書または遺言書
  • 相続人の本人確認書類

証券会社ごとに手順が異なるため、公式サイトの相続案内ページやカスタマーサポートで確認しましょう。

まとめ:NISAは相続不可、資産は相続財産として正式に引き継ぐ

夫婦でNISAを活用する際、死亡時には口座が廃止され非課税枠も消滅する点を理解したうえで、相続財産としての扱いに備えることが重要です。

相続税は配偶者であれば大幅な非課税枠があるものの、口座の存在やアクセス手段を把握しておくことが円滑な相続のカギとなります。ログイン情報の扱いには注意を払いつつ、エンディングノートや遺言書での準備をしておくことをおすすめします。

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