株主優待を取得する手法として人気の「クロス取引」ですが、実践してみると意外なコストやリスクに気づく方も少なくありません。特に一般信用売りにおける金利の仕組みや精算のタイミングについて、正確に理解しておかないと損失拡大につながる可能性もあります。
クロス取引で発生する一般信用売りとは?
クロス取引では、株主優待の取得目的で現物買いと信用売りを同時に行います。これにより株価の変動リスクを相殺しつつ、優待を確実に得るというテクニックです。信用売りの中でも、証券会社が保有する在庫を用いる「一般信用売り」は、逆日歩が発生しないため人気です。
しかしその一方で、一般信用売りには保有日数に応じた「貸株料(金利)」がかかり、長期保有となれば思った以上にコストが膨らむリスクがあります。
金利計算の対象となる金額とは?
一般信用売りにおける日々の貸株料は「建玉時の株価×株数」で算出されます。つまり、株価が上昇して含み損が出ていても、金利は取得時の金額に基づいて計算されるため、60万円に株価が上がっていても、40万円で建てたのであれば40万円がベースとなります。
例:40万円で100株を建てた場合、貸株料が年利2.0%であれば、1日あたりの金利は約21円程度(40万円×0.02÷365日)です。
一般信用の金利精算タイミングとは?
一般信用取引の金利(貸株料)は、建玉を決済した際に清算されます。具体的には「信用返済(買い戻し)」を行った日の翌営業日にまとめて請求されます。
「無期限」の一般信用の場合も、建玉を返済しない限り金利が日々積算されていくため、精算タイミングは決済時になります。長期保有の場合、累積金利が想像以上になるケースもあるため注意が必要です。
金利負担を抑えるための対策とは?
以下のような工夫で金利負担を軽減できます。
- 一般信用売りは短期在庫を使う:金利が低く設定されている短期信用を選択する
- クロス取引は優待日直前に実施:保有期間を最短にして貸株料を抑える
- 金利が高い証券会社を避ける:証券会社ごとの金利比較を行う
たとえば、SMBC日興証券の一般信用(短期)は日歩制、SBI証券や楽天証券では金利制が導入されており、計算方法にも若干の差があります。
クロス取引の「後悔」から学ぶポイント
今回のように、クロス取引で取得した株が想定外に上昇して「現物で保有していれば利益が出たのに…」と後悔するのは、クロス取引経験者なら誰もが一度は通る道です。
ただし、優待取得を目的とした戦略である以上、機会損失と割り切ることも必要です。今後は、銘柄の将来性やチャート形状なども加味したうえで、現物買いとのバランスを取ることが重要です。
まとめ:一般信用売りは仕組みを理解して活用しよう
一般信用売りの金利は「建玉時の価格」に対して日々発生し、精算は「返済時」にまとめて行われます。無期限信用でも例外ではありません。クロス取引を活用する際は、金利負担と株価変動リスクの両面を意識し、トータルでの損益を冷静に判断することが成功の鍵です。

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