M&A(企業の合併・買収)は、企業戦略として重要な局面であり、株式市場でも大きな注目を集めます。多くの投資家が「M&A発表時にどちらの企業の株が上がるのか?」と疑問を抱く場面は少なくありません。本記事では、過去の事例や株価の動きのパターンを踏まえ、買収する側とされる側の株価にどのような影響があるかを解説します。
M&Aで株価に影響が出る理由とは
M&A発表は、企業の経営や収益に大きな変化をもたらす可能性があるため、市場参加者の期待や懸念が株価に反映されます。特に買収によるシナジー効果や、逆に財務リスクの増加といった要素が、株価の上下に直結します。
例えば、買収される企業は買収価格がプレミアム(上乗せ価格)で提示されることが多く、その期待から株価が急騰する傾向があります。一方で、買収する企業は資金調達のための負担や、統合リスクを懸念されて売られる場合があります。
買収される企業(被買収企業)の株価傾向
一般的に、M&A発表時に被買収企業の株価は上昇する傾向があります。なぜなら、買収価格が現在の市場価格よりも高く提示されるケースが多いためです。
例えば、ある企業が1株1,000円で取引されていたところに、1,300円での買収提案が出れば、そのニュースが出た直後に株価は1,300円に近づく動きを見せます。これは投資家がその価格での買収成立を見込んでポジションを取るためです。
買収する企業(買収側)の株価傾向
一方で、買収する企業の株価は下落することが多いのが現実です。理由としては、買収資金の調達負担(借入や新株発行)、買収後の統合リスク、利益の希薄化懸念などが挙げられます。
例えば、ソフトバンクグループが大型買収を行う際には、その都度数千億円単位の資金が必要になり、財務面での懸念から株価が短期的に売られることもありました。ただし、買収の内容次第では長期的に株価が回復・上昇するケースもあります。
実例から見るM&Aと株価の動き
【事例1:LINEとZホールディングス】
2019年に発表されたLINEとZホールディングスの経営統合では、LINE側の株価が急騰しました。これは経営統合によりLINEの企業価値が高く評価されたためです。
【事例2:武田薬品によるシャイアー買収】
一方で、武田薬品が2018年に海外大手のシャイアーを約7兆円で買収した際には、大型買収による財務懸念が強まり、武田の株価は下落しました。
投資家が見るべきポイントとは
M&A関連で株を買う際には、単に「買収される企業=上がる」「買収する企業=下がる」と決めつけず、以下の点に注意を払いましょう。
- ・買収価格と現在の株価の差(アービトラージの余地)
- ・買収スキーム(現金か株式交換か)
- ・買収する企業の財務体力や成長性
- ・規制当局の承認の有無(公正取引委員会など)
これらを総合的に分析することで、より精度の高い投資判断が可能になります。
まとめ:M&A発表時の株価の動きには明確な傾向がある
M&Aでは、被買収企業の株価は上昇、買収企業の株価は下落する傾向があります。ただし、それはあくまで短期的な傾向であり、中長期的には事業シナジーや経営統合の成果によって大きく変化します。
情報収集と冷静な分析によって、M&Aは投資の好機ともなり得る場面です。報道やIR資料を活用して、判断材料をしっかり確認することが大切です。

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