経営者として事業資金を借りる場面は避けられないものですが、その際に「売上や利益を継続的に伸ばし続ける計画」が必要かどうかは、多くの方が悩むポイントです。実際の融資審査では、単なる成長だけでなく、継続性や合理性のある計画かどうかが重視されます。
金融機関が見る「成長計画」の本質
銀行や信用金庫などが重視するのは、「売上が右肩上がりになるか」よりも「返済能力の裏付けがあるか」です。つまり、売上・利益の成長計画は必要ではあるものの、それが非現実的であったり、根拠に乏しければマイナス評価になることもあります。
例として、前年対比150％の売上計画を出した事業者が、実績と根拠を一切提示できなかったために、金融機関から「計画の信憑性が低い」と判断されてしまった事例もあります。
安定的なキャッシュフローを示せるかがカギ
金融機関が重視するのは「計画上の利益」よりも「現実の資金繰り＝キャッシュフロー」です。借入金は利益からではなく、実際の現金収支から返済されるため、売上が大きくても回収が遅ければリスクと見なされます。
したがって、経営計画書には、月別の資金繰り予定表を添えることで、審査側に安心感を与えることができます。
売上が横ばいでも借りられるケースもある
全ての融資が「右肩上がり」の計画を要求しているわけではありません。たとえば、安定した売上があり、固定費を削減して利益率を改善しているような会社は、成長性よりも“経営の健全性”で評価されます。
実際に、ある設備業者が売上横ばいにも関わらず、経費削減と原価管理の徹底により営業利益が改善し、無担保で運転資金の追加融資を受けたケースもあります。
計画の立て方：成長より「説得力」を重視
売上を無理に増やすのではなく、「どこで」「誰に」「どんな手段で」売上が伸びるのかを明確に説明できることが重要です。市場調査の引用や、過去の販売実績を根拠とした売上予測などがあると信頼性が高まります。
また、業種によっては季節要因や顧客の契約サイクルにより、成長のペースに波があるのが自然です。そのため、年単位での成長を説明する方が説得力があります。
借入目的によって計画の求められ方が異なる
運転資金・つなぎ資金・設備投資など、資金の使途によって金融機関の評価ポイントも異なります。たとえば、短期の運転資金であれば、今後半年～1年の売上見通しがあれば十分なケースもあります。
一方で、設備資金を借りる場合には、その投資によってどれだけ売上や利益が増えるかの定量的な説明が不可欠になります。
まとめ：持続可能な経営計画こそが信頼を生む
経営者がお金を借りる際に大切なのは、「売上や利益をただ伸ばし続ける計画」ではなく、持続可能で現実的な計画を立て、数字の裏付けと返済可能性を丁寧に示すことです。金融機関は“未来の成功”よりも“返済の確実性”を見ています。根拠ある計画をもとに、自信を持って資金調達に臨みましょう。
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