中東で紛争や軍事的緊張が高まると、国際的な市場に不安感が広がり、リスク回避の動きが活発になります。そうした時期に注目されるのが「安全資産」としての金です。この記事では、なぜ中東のドンパチ(紛争)が金相場の上昇に繋がるのか、過去の実例も交えながら解説します。
安全資産としての「金」の特性
金は古来より通貨の代替手段や価値保存手段として世界中で重宝されてきました。特に、株式や通貨が不安定な時期には「金なら価値が落ちにくい」という投資家心理が働き、買いが集まりやすくなります。
たとえば戦争やテロ、国家破綻リスクなどの重大イベントが起きると、投資家は株式などのリスク資産を手放し、金に資金を移す傾向があります。これが金価格の上昇を招くのです。
中東紛争と金相場の連動の仕組み
中東は世界の石油供給の要所であるため、紛争が起きると原油供給リスクが意識され、原油価格が急騰します。インフレ懸念が高まり、そのヘッジとして金に資金が流れやすくなるのです。
また、地域紛争は世界的な政治リスクと認識され、広範囲な市場に影響を与えます。特にドル建てで取引される金は、ドル安リスクにも対応する投資対象として買われる傾向があります。
トランプ関税時との違いとは?
一方で、2018年のトランプ政権下での関税強化時は、金価格が必ずしも上昇しませんでした。これは「貿易摩擦」が経済活動の低下やデフレ懸念に繋がる要素が強く、インフレヘッジ資産である金の魅力がやや減ったからです。
また、当時は米国の利上げ局面でもあり、金利の高い米ドル資産のほうが魅力的に見られていたのも要因です。このように、情勢の性質や市場の金利環境によって金の動きも変わります。
過去の中東危機と金相場の動き
たとえば2003年のイラク戦争や2020年の米国によるイラン革命防衛隊司令官の殺害などでは、いずれも短期的に金相場が上昇しました。これらは「軍事リスク→経済不安→金買い」という典型的な流れでした。
ただし、戦局がすぐに収束した場合は「金の急落」も起こるため、過度な期待は禁物です。
金を安全資産として見る際の注意点
金はインカムゲイン(配当など)を生まない資産であるため、長期的には金利とのバランスが重要になります。米国の政策金利やインフレ率の動向を無視して投資すると、想定外の値動きに振り回されることも。
また、ETF(上場投資信託)などを通じて手軽に投資できますが、地政学的リスクが解消されると急落リスクもあるため、購入タイミングの見極めも重要です。
まとめ:金相場は「世界の不安バロメーター」
中東のように地政学的リスクが高まると、安全資産である金への需要が一気に高まり、金相場は上昇しやすくなります。ただし、その動きは一時的であることも多く、政治・経済・金融環境の全体像を踏まえた上での投資判断が求められます。単純に「戦争=金高騰」と決めつけず、背景要因を冷静に見極める力が重要です。

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