アメリカ関税と投資利益の真相|「利益の90%を得る」は本当なのか?

資産運用、投資信託、NISA

米中貿易戦争などで関税が話題になって以降、「アメリカは投資利益の90%を奪っている」といった極端な主張を目にすることがあります。しかし、実際にそのような構造が成り立っているのでしょうか?この記事では、関税の仕組みや米国の貿易政策、投資利益との関係をもとにその真相を探っていきます。

そもそも関税とは何か?

関税とは、外国から輸入される商品に課される税金です。これにより、国内産業を守ったり、政府の歳入を確保する役割があります。たとえば、米国が中国からの製品に25%の関税をかければ、米国内でその商品が割高になります。

関税は基本的に「政府対企業」の話であり、個人投資家の利益配分に直接作用するものではありません。ただし、関税が企業の利益に与える影響は株価や投資収益にもつながっていきます。

「アメリカが90%の投資利益を得ている」の意味とは?

この表現は事実というより、比喩的な政治的主張である可能性が高いです。例えば、アメリカが強い交渉力をもって貿易協定を有利に進めたり、企業誘致の結果として巨額の投資を呼び込み、それに伴う利益を享受している――といった状況を大げさに表現したものかもしれません。

実際に、米国企業がグローバル展開をしていることで、高収益をあげているのは事実です。しかしそれは市場原理や競争力、技術優位性などに基づくものであり、「関税によって一方的に吸い取っている」わけではありません。

アメリカの関税政策は本当に有利に働いているのか?

トランプ政権時代の「アメリカ・ファースト」政策では、中国などに対して高関税を課すことで国内産業保護を図りました。しかし、これによりアメリカ国内でも原材料価格が上昇し、製造業が打撃を受けるなどの副作用も確認されています。

たとえば、農業分野では中国による報復関税により輸出が減り、米政府が農家に多額の補助金を出す事態も起こりました。つまり、関税でアメリカが常に「得」しているとは限らないのです。

グローバル経済の構造と投資利益

現代の経済はサプライチェーンが複雑に絡み合っており、アメリカ企業も中国、日本、ドイツなど他国の部品や技術を使って製品を作っています。したがって、一国が利益を「独占」する構造ではありません。

たとえば、Apple社のiPhoneはアメリカ企業の製品ですが、多くの部品は日本・韓国・中国・台湾製です。最終的な利益の分配も各国に分散しており、「アメリカだけが90%得をする」とは言えません。

投資家目線で見るとどうか?

アメリカの株式市場は確かに世界的に強く、S&P500やNASDAQなどのパフォーマンスは長期的に高い傾向にあります。これはGAFAをはじめとする成長企業の多さ、資本市場の厚み、規制の透明性が背景にあります。

しかし、日本や他国から投資している人も同じくそのリターンを享受しています。よって「アメリカが利益の90%を得る」というより、強い市場に世界中の資金が集まり、その果実を各国の投資家が得ているというのが実態に近いでしょう。

まとめ:数字に惑わされず、冷静な視点を

「アメリカが投資利益の90%を得る」といった表現は、経済的な構造を誤解させる誇張表現の可能性があります。実際の利益配分はより複雑で、国際経済の連携と分業の中で多国間にまたがっています。

正確な理解には関税の仕組み、企業の収益構造、グローバル経済の成り立ちを総合的に見ることが不可欠です。情報に惑わされず、投資判断はファクトベースで行いましょう。

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