株式投資において、私たちが日常的に目にするのは「株価チャート」です。しかし、株価だけを見て「この銘柄は割安だ」と判断するのは早計かもしれません。企業価値をより正確に捉えるには、株価×発行済株式数で算出される「時価総額」に着目する必要があります。本記事では、時価総額チャートがなぜ重要なのか、その考え方と活用方法を解説します。
株価と時価総額は似て非なるもの
株価はあくまで「1株あたりの価格」にすぎず、それ自体では企業の総合的な価値を表していません。時価総額は「株価 × 発行済株式数」で計算され、企業の現在の市場評価、いわば“企業の値札”といえます。
たとえば、ある企業の株価が1,000円から500円に下がったとしても、その間に株式分割や第三者割当増資などで発行済株式数が10倍になっていれば、時価総額は増えている可能性があります。株価だけで「割安」と判断すると、このような本質を見誤ってしまうのです。
時価総額の推移が見えると何がわかるのか
時価総額の推移を見ることで、企業の市場評価の変化を正確に把握できます。特に、株式分割・新株発行・自己株買いなど、資本政策が積極的に行われている企業では、株価と時価総額が逆行する現象も珍しくありません。
仮に5年前の株価が1,000円で時価総額が100億円、現在の株価が500円でも時価総額が500億円であれば、その企業は株価が下がっていても市場からは「成長企業」と評価されていることになります。こうした分析は長期投資において特に有用です。
実例で見る:株価と時価総額の乖離
あるIT企業A社は、2020年に株価が2,000円を超えていましたが、その後の株式分割により現在の株価は600円台にまで下落しました。しかし発行済株式数は大幅に増加し、時価総額はむしろ当時より上昇。これにより、表面上は「安くなった株」に見えても、企業価値は高まっていたのです。
一方で、B社は逆のパターンで、株価は高値を維持しているものの、自社株買いで発行済株式数が減り続け、時価総額は横ばいまたは減少傾向。こちらは投資家にとって「見かけ倒し」のリスクをはらむ可能性があります。
時価総額チャートはどこで見られる?
日本国内の証券会社の多くでは、標準機能として時価総額チャートは搭載されていませんが、以下のような方法で近似的に確認することは可能です。
- [参照]TradingView:一部の米国株では”Market Cap”として表示可能
- EDINETやIR資料:有価証券報告書から発行済株式数の履歴をチェック
- 証券アナリスト用の有料ツール:BloombergやQUICK端末などでは時価総額の時系列データを取得可能
また、エクセルやGoogleスプレッドシートなどで、株価と発行済株式数の履歴を組み合わせて自作チャートを作成する方法もあります。
今後の投資判断に時価総額をどう活かすか
今後の投資判断では、単純な株価の上下に惑わされず、時価総額の変化とセットで銘柄の評価を行うことが重要です。「株価が安い=割安」ではなく、「時価総額の変化=企業価値の変化」という視点を取り入れることで、より本質的な企業分析が可能になります。
成長性・収益性・株主還元の方針などを加味しつつ、時価総額の推移も確認することで、長期的に資産を伸ばすためのヒントが見えてきます。
まとめ:時価総額チャートは「隠れた真実」を映す鏡
株価は感情や短期的ニュースに左右されやすい指標ですが、時価総額は企業そのものの“市場での重み”を表す指標です。表面的な値動きに振り回されず、より深い分析を目指す投資家にとって、時価総額チャートは強力な補助ツールになります。
まだまだ普及していない視点ではありますが、今後の投資判断では「株価」だけでなく「時価総額」の動きにも注目することで、より確かな投資判断が可能になるでしょう。

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