経済学において「上限価格(価格規制)」が導入されると、市場における需給バランスや余剰の配分が大きく変化します。特に注目すべきは、消費者余剰がどう変わるのかという点。本記事では、上限価格の設定により消費者余剰がどのように計算され、変化するのかを図解的に理解できるよう、丁寧に解説します。
消費者余剰とは何か?
消費者余剰とは、消費者が「支払ってもよい」と考える最大価格と、実際に支払う市場価格との差から得られる利益を指します。
グラフで表すと、需要曲線と価格線の間にできる三角形の面積が消費者余剰です。
上限価格が導入されると市場に何が起きるか
上限価格(Price Ceiling)は、通常の均衡価格より低い価格に設定されることが多く、その結果、供給量が減少し、需要が過剰になります。
このとき、市場には供給不足(いわゆる「品薄」)が生じ、取引量は均衡時より減ります。ただし、購入できた一部の消費者にとっては価格が下がるため、得をするという側面もあります。
上限価格があるときの消費者余剰の計算方法
ステップごとの計算手順は以下の通りです。
- ①需要曲線と供給曲線を描き、均衡点を求める
- ②上限価格とその価格における需要・供給量を読み取る
- ③実際の取引量=上限価格における供給量
- ④消費者余剰=価格上限の下で成立する取引量における三角形の面積
式にすると以下のようになります。
消費者余剰 = 0.5 ×(最大支払意思価格 - 上限価格)× 実際の取引量
ただし、これは線形の需要曲線を想定した単純化されたケースです。
実例:線形の需要・供給曲線を使った具体例
例えば、需要曲線が P = 100 - Q
、供給曲線が P = 20 + Q
のとき。
- 均衡価格:
100 - Q = 20 + Q → Q = 40, P = 60
- 上限価格:
40
に設定された場合 - 供給量:
P = 20 + Q → 40 = 20 + Q → Q = 20
- 消費者余剰:
0.5 × (100 - 40) × 20 = 600
このように、上限価格によって本来の取引量より減少する点が、全体の効率性を損なう要因になります。
グラフがある場合の補助的ポイント
もしグラフがある場合は、次の手順で視覚的にも確認しましょう。
- 需要曲線と上限価格の交点から垂線を引き、供給量までの範囲で三角形を描く
- その三角形の面積が消費者余剰となる
- 残った「供給されなかった分の需要部分」は、いわゆる「見えざる損失(デッドウェイトロス)」になります
まとめ
上限価格が設定された市場では、一部の消費者にとっては消費者余剰が増加する一方、供給不足により取引量は減少します。
消費者余剰を求める際には、上限価格での取引量=供給量を前提とし、需要曲線との間の三角形の面積を算出することが基本です。市場分析やミクロ経済の理解に役立ててください。

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