近年、消費者の間で「ステルス値上げ(実質的な値上げ)」が頻発しているとの声が増えています。円安が進行する中で、「昔の円安時代と違って食品の量が減り、価格は上がる一方だ」と感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、ステルス値上げの理由や背景を、過去との違いを交えて分かりやすく解説します。
ステルス値上げとは?
「ステルス値上げ」とは、商品の価格を据え置いたまま内容量を減らすことで、実質的に値上げを行う手法を指します。たとえば、同じ価格で購入したポテトチップスが、以前より10g少なくなっているといったケースが典型例です。
消費者心理に配慮し、値上げ感を抑えつつコスト上昇を吸収しようとする企業の工夫でもありますが、その頻度と規模が問題視され始めています。
現代の円安がもたらすコスト構造の変化
1990年代や2000年代前半の円安と、現在の円安では経済構造が大きく異なります。かつての円安局面では、国内の物価上昇が限定的で、企業の原材料費も比較的抑えられていました。しかし現在では、世界的なインフレと円安が同時進行しているため、原材料やエネルギー、物流コストが大幅に上昇しています。
たとえば、小麦やトウモロコシなどの穀物価格は、戦争や異常気象などの要因で世界的に高騰しています。円安で輸入コストが上がり、なおかつ仕入れ価格も高いという「ダブルパンチ」の状況に企業は直面しているのです。
なぜ過去の円安ではステルス値上げが目立たなかったのか
1990年代や2000年代の円安局面では、まだ日本国内に「デフレ圧力」が強く、企業は価格転嫁しにくい環境にありました。一方で、原材料価格や人件費が今ほど高くなく、ある程度の利益を確保できていたのです。
また、当時は国内生産が中心だったため、為替の影響も限定的でした。現在はグローバルなサプライチェーンを前提にしている企業が多く、円安による輸入コストの増加が直撃します。
企業がステルス値上げを選ぶ理由
企業にとって、商品価格の「表面的な値上げ」は売上減少に直結するリスクがあります。特に消費者の価格敏感度が高い日本市場では、値札を変えることに慎重にならざるを得ません。
そのため、「内容量を減らす」ことでコスト増を吸収する方法が選ばれやすいのです。たとえば、ある菓子メーカーは内容量を90gから85gに減らすことで、1年あたり数億円のコスト圧縮を実現しています。
消費者の体感物価と実際の物価
総務省の消費者物価指数(CPI)では、食品の価格上昇率は控えめに見えることもあります。しかし、実際には内容量の減少やサイズダウンが進行しており、「体感物価」は統計以上に上昇しているという現実があります。
さらに、パッケージ変更による錯覚や、新商品として再発売される際の実質的な価格改定など、目に見えにくい価格調整が日常的に行われています。
まとめ:ステルス値上げの背景には構造的なコスト圧力がある
かつての円安と現在の円安では、経済状況やコスト構造が大きく異なっており、今は企業側も苦境の中で価格維持に努めています。その結果として、消費者には見えにくい「ステルス値上げ」という形でコストが転嫁されているのです。
今後も円安が続く限り、この傾向はしばらく継続する可能性が高いと考えられます。消費者としては価格だけでなく、内容量や品質にも注意を払い、賢く買い物をする姿勢が求められています。

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