株主優待をお得に手に入れるために活用される「つなぎ売り(クロス取引)」ですが、逆日歩のリスクを軽視すると、大きな損失を被る可能性があります。本記事では、つなぎ売りでよくある失敗例やその回避法を解説し、失敗しない優待投資のコツを紹介します。
つなぎ売り(クロス取引)とは何か
つなぎ売りとは、同一銘柄を「現物買い」と「信用売り(空売り)」で同時に保有し、株価変動のリスクを抑えながら株主優待を取得する投資手法です。
たとえば、3月末の権利確定日に向けて、優待が人気の企業株を購入しつつ、同じ銘柄を信用取引で空売りすることで、株価の上げ下げに影響されずに優待のみを確保するというものです。
制度信用と一般信用の違い
信用取引には「制度信用」と「一般信用」の2種類があります。優待クロス取引においては、一般信用を使うことで逆日歩リスクを回避できますが、在庫数に限りがあり、人気銘柄では確保が難しい場合もあります。
一方で制度信用は証券取引所がルールを定めており、在庫の制限がない代わりに、売りが集中した場合には逆日歩が高額に発生するリスクがあります。
逆日歩で失敗した実例とその原因
たとえば、3,000円分のブックオフの株主優待券を目的に200株のクロス取引を行い、一般信用が売り切れていたため制度信用を使ったケースがあります。この場合、逆日歩が1株あたり71.85円発生し、合計で14,435円のコストになってしまいました。
このようなケースでは、優待の価値よりも取得コストが大幅に上回るため、「つなぎ売り」本来の目的が損なわれてしまいます。
逆日歩の仕組みと予測方法
逆日歩とは、制度信用取引で空売りが増加した際に発生する「品貸料」で、買い方から貸株の対価として支払う手数料のようなものです。発生は需給によるため完全な予測は困難ですが、以下のような要因で高額になることがあります。
- 優待内容が人気で需要が集中する
- 流通株式数が少ない
- 直前に制度信用に切り替える投資家が多い
証券会社によっては、過去の逆日歩履歴を公開しているので、事前に確認することが重要です。
リスクを最小限に抑えるためのコツ
クロス取引で失敗しないためには、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 一般信用売りの在庫を事前に確保する
- 人気優待銘柄は1か月以上前からチェック
- 制度信用を使う場合は逆日歩が発生する可能性を織り込む
- 逆日歩3日分がかかる「権利付き最終日」に注意
特に3月、9月などの優待集中月は逆日歩が高騰しやすいので注意が必要です。
まとめ:優待クロス取引は計画的に行おう
株主優待を狙ったつなぎ売りは魅力的な手法ですが、制度やリスクを十分に理解していないと、大きなコストを被ることもあります。逆日歩の仕組みや信用取引の違いを学び、慎重な判断と事前準備をもって取り組むことが、優待投資で失敗しない最大の鍵です。

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