近年、米の価格が高騰していることを受けて「備蓄米」の注目が高まっています。しかし、「備蓄米が安い」とされるその価格設定は、本当に適正なのでしょうか?過去の価格、仕入れ時期、そして現在の流通価格と比較して、備蓄米の本質的な価値を見直してみましょう。
数年前の標準米の価格はどれくらいだったのか
農林水産省のデータによると、2019〜2021年ごろまでの標準的な米(コシヒカリやあきたこまち等)の5kgあたりの店頭価格はおおよそ1,600円〜2,200円で推移していました。
また、一部の特売やPB(プライベートブランド)商品では、5kgあたり1,200円〜1,500円といったケースも存在しており、「5kg 2,000円」は当時の平均価格帯の上限付近といえるでしょう。
備蓄米の原価は本当に安かったのか?
備蓄米は、国が主導して災害対策や市場安定のために保管している「政府備蓄米」と、企業や自治体が確保する「民間備蓄米」に大別されます。これらは基本的に数年保管され、一定期間後に「古米」として放出されるケースが多く見られます。
たとえば2019年に備蓄された米の入札価格は、玄米60kgあたり9,000円〜11,000円(白米換算で5kgあたり約900円〜1,100円)程度が一般的でした。
この数値から見ても、現在の販売価格(5kg 2,000円)が当時の仕入れ価格に比して大幅に上乗せされていることは否定できません。
「安い」とされる備蓄米はなぜ高く見えるのか
現時点では市販の新米が5kgで2,300〜2,800円前後となっており、それと比べれば備蓄米の5kg 2,000円は“相対的に安く見える”価格です。しかし、その背景には流通業者のマージン、保管費、包装・輸送コストなどが加算されており、単純な原価ベースで比較することはできません。
加えて、近年のコスト増(物流費、人件費、資材費)も無視できません。つまり、仕入れ価格が低かったからといって現在安く売られるべきとは限らないのです。
価格が適正かどうかを見極めるには?
備蓄米の価格が「不当に高い」と感じるかどうかは、比較対象と視点に大きく依存します。価格の適正性を見極めるには以下の観点が重要です。
- 仕入れ時期とその価格の公的記録
- 販売元が明示しているコスト構造
- 同様の米種・保管期間の商品との比較
仮に価格に不審点があれば、農林水産省の公開データや市場平均との乖離を確認することで、妥当性の検証が可能です。
利益構造と透明性に注目する必要性
一部では、備蓄米の放出が営利目的で流通業者に“転売”され、消費者向けに割高で販売されているのでは、との疑念もあります。これは過去にも国会等で取り上げられた問題であり、「誰がどの段階で利益を得ているのか」の透明性が重要視されています。
消費者としては、「安いから買う」のではなく、「なぜこの価格なのか」を知る姿勢が必要です。ラベルやサイトでの情報開示、企業姿勢などにも目を向けましょう。
まとめ:備蓄米の価格には裏付けと構造理解が必要
備蓄米が「高くなった」と感じる背景には、価格そのものだけでなく、原価・保管コスト・流通構造といった複数の要素が絡んでいます。過去の価格との比較や情報開示の有無を踏まえたうえで判断することが、賢い選択につながります。価格だけでなく、その根拠に目を向ける習慣を身につけましょう。

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