なぜ純金のインゴットは店頭価格より高い?金の資産価値と価格の仕組みを徹底解説

資産運用、投資信託、NISA

純金(24金)のインゴットを購入しようと価格を調べた際、「1gあたりの店頭価格」と「実際のインゴット価格」に大きな差があることに驚いた方も多いのではないでしょうか。さらには売却時にも手数料やスプレッドがかかるため、買っても損をするのではないかと疑問に感じる声もよく聞かれます。本記事では、純金インゴットの価格構造や資産価値としての本質についてわかりやすく解説します。

純金インゴットの価格が店頭価格より高い理由

たとえば、田中貴金属などで表示されている「小売価格」は、金そのものの価格(国際相場に基づく)に加え、製造コスト・販売管理費・輸送保険料・手数料などが上乗せされたものです。

つまり、1gあたりの金価格が17,629円であっても、10gインゴットの販売価格が208,800円というのは、1gあたり約20,880円であり、実質的に2,000円〜3,000円程度のプレミアムが含まれていることになります。

これは「現物資産」としての金を所有するためのコストと理解すると納得しやすいです。

なぜ売るときは安く、手数料もかかるのか?

インゴットを売却する際は、当然ながら業者の「買取価格」が適用されます。これは、同日の「小売価格」よりも1gあたり100円〜200円ほど安いのが一般的です。加えて、店舗によっては5%前後の買取手数料や手数料無料の条件がある場合もあります。

たとえば、買取価格が17,438円で、そこから5%の手数料を引かれると、実質的には1gあたり16,566円になります。10g売却した場合、165,660円にしかならず、購入時との差額で損をする構造です。

では金に資産価値はあるのか?その答えは「長期保有」

金は短期的に利益を得る投資商品ではなく、インフレ対策・有事の備え・通貨価値の下落に対する保険という性質が強いです。価格の上昇はゆるやかでも、世界的な混乱や金融危機が起きたときに価値を発揮します。

実際、リーマン・ショック後やコロナ禍、地政学的リスクの高まりといった局面では、金価格が大きく上昇する傾向がありました。

将来、金が2万円/gを超えても損をする理由と、しない条件

仮に金の価格が1gあたり20,000円になったとしても、購入時の価格がすでに20,880円であれば、売却時点での買取価格がそれを上回らない限り、利益は出ません。手数料を考慮すればなおさらです。

逆に言えば、金価格が大きく上昇し、なおかつ保有期間中にコストを回収できる水準まで値上がりすれば「資産価値を発揮した」と言えるのです。

実例で理解:長期保有した場合の価格推移

例えば、2012年に1gあたり4,500円前後で純金を購入した人は、2024年時点で4倍近い価格上昇を経験しています。この間に数回の価格調整はありましたが、長期で見ると金は安定して右肩上がりの傾向があります。

このように、短期での売買を前提にすると損をしますが、時間を味方にすることで資産価値が発揮されるのが金の特徴です。

まとめ:金は「すぐ儲かる資産」ではなく「守る資産」

金は短期的な売買では手数料負けやスプレッドにより損をする可能性がありますが、インフレや金融危機、通貨不安などのリスクに備える「守りの資産」としての価値があります。

重要なのは、購入の目的を明確にし、コストを理解したうえで長期保有を前提に活用すること。資産全体のバランスの中で、金を「価値保存の手段」として持つことが賢い活用方法と言えるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました