S&P500が最高値を更新したのに評価損益が減る理由とは?インデックス投資の仕組みを解説

資産運用、投資信託、NISA

インデックス投資では、指標(たとえばS&P500)が最高値を更新したからといって、必ずしも個人の評価損益が最大になるとは限りません。実際に「指数が上がっているのに、自分の評価益が減っている」と感じる投資家は多く、この現象には複数の要因が絡んでいます。この記事では、S&P500の最高値と個人の評価損益が一致しない理由について、わかりやすく解説します。

指数の最高値と自分の保有資産の価格は同じとは限らない

たとえば、S&P500が史上最高値を更新していたとしても、自分が保有する投資信託やETFの基準価額がそれに連動していないことがあります。その理由は、次のような要素にあります。

第一に、投資信託は通常、1日遅れの価格(終値ベース)で反映されるため、リアルタイムのS&P500指数とは時間差があります。第二に、為替の影響も無視できません。

為替レートの変動が評価損益に影響する

日本の個人投資家が購入するS&P500連動型の投資信託やETFの多くは、米ドル建て資産を円に換算した価格で評価されます。つまり、S&P500が最高値をつけていたとしても、円高が進行していれば、評価額は減少する可能性があるのです。

たとえば、1ドル=150円のときに投資した資産が、S&P500の上昇とともに価値を上げたとしても、為替が145円まで円高に振れれば、日本円での評価額は下がってしまいます。

追加購入や分配金の再投資も影響する

定期積立やスポット購入などで追加投資をしている場合、それぞれの購入タイミングでの単価が異なります。そのため、1月時点の保有比率と、現在の保有比率が変わっていると、評価損益の見え方も変わる可能性があります。

また、分配金を自動再投資している場合、それが反映されているかどうかでも評価額に影響します。

投資信託のコストや運用報酬の影響

インデックスファンドには信託報酬などのコストがかかります。これらのコストは日々基準価額に影響しているため、指数と完全に一致するパフォーマンスにならない点に注意が必要です。

また、ファンドによっては現金比率や保有銘柄構成が異なることもあり、わずかな差であっても中長期では評価損益に差が出てくる可能性があります。

実例:S&P500が高値更新でも損益が減った理由

ある投資家Aさんが、2024年1月に1ドル=150円でS&P500連動のファンドを購入したとします。その後、S&P500は上昇して2025年6月に史上最高値を更新。しかしそのとき、為替は145円まで円高に動いていた場合、S&P500が高くなっていても、円換算の基準価額が1月より下回る可能性があるのです。

また、1月に一括購入していた場合と、毎月積立をしている場合でも評価額の増減の見え方は異なります。

まとめ:インデックスの最高値と評価損益の違いを正しく理解しよう

S&P500などの指数が最高値を更新していても、為替レート・購入タイミング・信託報酬などの要因により、自分の評価損益が1月時点より低くなることは十分にあり得ます。

インデックス投資では、指数の動きだけでなく、為替とコストを含めたトータルリターンを見ることが重要です。短期の評価益に一喜一憂せず、長期の成長を見据えて冷静に投資を継続することが成功のカギです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました