鉄道会社の株式を大量に保有すれば、その会社の経営に大きな影響を与えることができるのではないか、と考える人もいるかもしれません。特にJR各社のような上場企業であっても、インフラを担う性質から自由な運営が許されない部分もあります。今回は「JRの株を個人で51%取得すれば鉄道用地を私有化できるのか?」という疑問について、法律的・実務的な観点からわかりやすく解説します。
株式の51%保有=経営支配は可能だが、即「私有地化」とはならない
一般的に株式会社の株式を51%以上保有すれば「過半数の議決権」を持つことになり、取締役の選任や重要事項の決定などで強い影響力を持てます。つまり、JR各社の株を51%保有すれば、取締役会で多数派を形成し経営方針を大きく動かすことは理論上可能です。
しかし、その権限は「会社の経営」に関するものであり、鉄道敷地の「所有権」や「公共性」に関する部分には直接的な影響を及ぼしません。つまり、会社を私物化できたとしても、敷地を私有地として自由に使うことはできないのです。
JRの用地は公共インフラとしての規制下にある
JRの線路・駅舎・施設などの大部分は、鉄道事業法や都市計画法、道路法などの公共法規によって使用目的が厳しく制限されています。これらの土地の多くは「鉄道用地」として地方公共団体との契約や補助金を受けた形で整備されており、たとえ経営権を掌握しても、勝手に用途変更したり私有地として立入制限することは不可能です。
また、JR東日本など一部のJRは国が株式の一部を保有していたり、政府との協定があるケースもあり、完全民間企業と違う取り扱いがされることもあります。
仮に土地を自由に扱いたい場合の障壁とは?
仮に株主として経営方針を変更し、「使っていない鉄道用地をショッピングモールに変えたい」などの計画を立てたとしても、自治体の許可・都市計画の変更・住民説明会・国土交通省の認可など、数多くの法的・行政的ハードルを超える必要があります。
しかも、JR各社の用地は担保制限や譲渡制限がついているケースも多く、そのような転用自体ができない契約となっていることもあります。
51%取得は現実的に可能か?
そもそも、JRのような大企業の発行済株式の過半数を個人が取得するのは極めて困難です。たとえばJR東日本の時価総額は数兆円規模で、51%を取得するには何兆円という資金が必要になります。
加えて、一定以上の株式取得には金融商品取引法による「公開買付け(TOB)」や「大量保有報告書」の提出義務も発生し、金融庁や証券取引所による厳格な審査が必要です。
実例:過去に経営支配を試みたケース
過去には大企業の経営権を巡って大株主が大量取得を行い、経営方針の転換を図った事例も存在しますが、多くは企業防衛策(ポイズンピル)やホワイトナイトによって防がれています。
JRのようなインフラ企業では、株主構成の変更だけで自由な意思決定ができるわけではなく、「公共性」や「法令による制限」が最優先されるのが通例です。
まとめ:株式保有と土地私有化は別問題
結論として、JRの株式を51%取得したとしても、鉄道用地を「私有地化」することはできません。法律や公共性の観点から、インフラ用地は民間の自由な裁量では動かせない仕組みになっているためです。
経営に一定の影響力を持つことは可能でも、土地を自由に使ったり、閉鎖したりといった行為は極めて限定的です。このような制度設計は、安全で公平な交通インフラの維持にとって不可欠なのです。

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