FX取引でよく聞く“オプションに吸い寄せられる”とは?ドル円とNYカットの影響を実戦目線で解説

外国為替、FX

FX市場では「オプションに吸い寄せられる」といった表現がよく使われます。特にドル円などの主要通貨において、オプション(OP)の行使価格(ストライク)に価格が接近すると、その価格に「引き寄せられる」ような動きが見られることがあります。この記事では、NYカットオプションの影響と、“吸い寄せ効果”の仕組みについて詳しく解説します。

NYカットとは?なぜ注目されるのか

「NYカット」とは、ニューヨーク時間の午前10時(日本時間23時または夏時間22時)に行使期限を迎える通貨オプションのことを指します。この時間帯には、オプションの清算価格(ストライク)に基づき多くの取引が決済されるため、価格が特定の水準に向かって動きやすくなる傾向があります。

市場参加者の中には、特定の価格水準を死守したい(あるいは狙っている)プレイヤーが存在するため、その思惑が短期的な価格変動を引き起こす要因になります。

「吸い寄せられる」とはどういう現象か?

「オプションに吸い寄せられる」とは、価格がストライク価格(例:143.00円)に近づいていく現象を指します。特にオプションの残存時間が短く、ストライク周辺で取引量が大きい場合、ヘッジの影響でポジション調整が活発に行われるため、価格がその水準に近づく力が働きやすくなります。

これはオプションを発行している金融機関や大口投資家が、価格リスクを抑えるためにヘッジ売買を行うためです。

買いの大きめオプションがある場合、ドル高になるのか?

今回の例で言えば、143.00円に「大きめの買いオプション(Call)が存在する」とした場合、NYカットに向けての市場心理と行動は次のように分かれます。

  • ① オプション買い手側:143.00円以上で決済されれば利益が出るため、その水準以上に保ちたい意図がある。
  • ② 売り手側(オプション発行者):価格が143円を超えると損失が出るため、価格を押し下げたい(ドル売り)ヘッジを行う。

このとき、買い手と売り手の攻防が発生し、結果的に価格がその水準付近に留まりやすくなる、または価格がその方向に「吸い寄せられる」形になります。

現在の価格が143.86円でオプションが143.00円ならどうなる?

仮にドル円が143.86円で推移しているときに、143.00円に大きめのオプションがある場合、基本的には「価格を引き下げたい勢力」が存在することになります。しかし、143円に戻すには約1円近く動かす必要があり、価格のモメンタム(勢い)やファンダメンタルズがドル高なら、そのまま上昇が続く可能性も十分あります

つまり、「オプションに吸い寄せられる」は一概には言えず、市場の環境やファンダメンタルズ、ポジション構成によって「押し戻される力」が働くこともある、という理解が重要です。

実戦的な考え方と注意点

  • ① NYカット前は急変動が起こりやすい
    特に大きなオプションが近くにある場合、10~20分前に価格が急激に動くこともあるため、短期トレーダーは注意が必要です。
  • ② オプションの方向だけで判断しない
    オプションだけでなく、要人発言や経済指標も並行して意識しなければ短絡的な判断になる恐れがあります。
  • ③ 実需と投機のバランスを読む
    企業の実需(輸出入)と、投機筋の動き(オプションヘッジ、ファンド勢)を区別することで、精度の高い分析が可能になります。

まとめ:オプション“吸い寄せ”は一つの力学、相場全体を読む目がカギ

オプションに吸い寄せられるという現象は、確かに短期的に存在する市場の力学です。ただし、それだけで方向性が決まるわけではなく、ファンダメンタルズ、テクニカル、センチメントを複合的に見て判断することが求められます。

オプションの影響を正しく理解することで、相場の動きに納得感を持てたり、リスク管理がしやすくなるはずです。ぜひ今後の取引において、オプション情報も「相場の温度計」として活用してみてください。

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