企業買収と聞くと「株式の過半数を取得すること」とイメージしがちですが、実際のM&A(合併・買収)にはさまざまな手法が存在します。本記事では、会社を買収するとは具体的にどういうことか、その方法と背景、そして実際の流れについてわかりやすく解説します。
会社を買収する=経営権を取得すること
一般的に「会社を買収する」とは、その企業の経営権を獲得することを意味します。経営権とは、取締役の選任・解任などを通じて企業の方針を決定する権利のことです。
このため、買収の最も一般的な手法は「株式の過半数(50%以上)を取得すること」です。過半数を保有すれば株主総会での議決権を事実上掌握でき、会社の意思決定に大きな影響を及ぼすことが可能になります。
買収方法は一つではない:3つの代表的手法
- 株式取得:対象企業の発行済み株式を市場や大株主から買い取り、経営権を取得。
- 事業譲渡:企業の特定事業部門や資産のみを売買する方法。経営権ではなく事業の一部だけが移転する。
- 合併・吸収:買収企業と被買収企業を法人格ごと統合し、1つの会社とする。これは法的な統合です。
これらの選択は、目的(市場拡大、人材獲得、技術取得など)や法務・税務の観点で判断されます。
具体的な買収の流れ
会社買収は次のようなステップで進みます。
- 候補企業の選定とアプローチ
- 秘密保持契約(NDA)の締結
- 企業調査(デューデリジェンス)
- 条件交渉・基本合意(LOI)
- 最終契約の締結
- クロージング(対価支払・株式移転など)
特に「デューデリジェンス」では、財務・法務・人事・ITなどの観点から対象企業のリスクを徹底的に洗い出します。
株式の過半数取得しないケースもある
必ずしも株式の50%以上を取得する必要はありません。たとえば、重要な業務提携や技術供与が目的であれば、少数株式の取得でも十分な成果を得られる場合があります。
また、「友好的買収」の場合、経営陣と合意のうえで進めるのに対し、「敵対的買収」では相手の同意なく市場で株式を買い進めていくケースもあります。
買収は企業戦略のひとつ
たとえば、楽天がライバルの買収によりサービスエリアやシェアを拡大する、Googleがスタートアップを買収して新技術を獲得する、といったように、買収は競争優位性を高める有力な手段です。
ただし、買収後の「PMI(統合プロセス)」がうまくいかなければ、期待した効果が出ない場合もあります。買収は“ゴール”ではなく“スタート”だという認識が重要です。
まとめ:買収とは経営権の獲得手段であり戦略の一部
会社を買収するとは、単に株式を買い集めるだけでなく、事業の一部を引き継いだり、合併したりと多様な形があります。その本質は「経営権や影響力の獲得」であり、目的と手法を明確にすることが成功のカギです。
企業の買収に関心がある方は、株式だけでなく戦略全体を俯瞰して理解を深めることが大切です。

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