「トランプ関税が10%から15%に引き上げられるのに、なぜ株価が上がるのか?」一見矛盾しているように思える現象ですが、金融市場の反応には合理的な背景があります。本記事では、関税と株価の関係、そして市場がなぜ一時的にポジティブに反応するのかをわかりやすく解説します。
そもそもトランプ関税とは?
トランプ前大統領が2018年以降導入した「トランプ関税」は、中国をはじめとした国々からの輸入品に対して高い関税を課す政策です。目的は国内産業の保護と貿易赤字の是正であり、2025年には一部製品で15%に引き上げが検討されています。
通常、関税が引き上げられると物価上昇やコスト増によって企業利益が圧迫されるため、株価にはネガティブ要因とされます。
それでも株価が上がる理由①:「織り込み済み」だった
関税引き上げが事前に報道やリークで予想されていた場合、市場はすでにそれを「織り込んで」います。つまり、株価はすでに悪材料として下がっており、実際に発表された時点では「想定内」として反応が限定的になることがあります。
むしろ、市場が最も恐れるのは「不確実性」です。その不安がはっきり数値として明示されたことで安心感が広がり、買いが優勢になるケースもあるのです。
理由②:関税で恩恵を受ける銘柄が買われる
関税は輸入品に課されるため、国内産業や保護対象となる業種(鉄鋼、自動車、製造業など)には競争優位となることもあります。その結果、「関税=一部企業には追い風」と判断され、セクター別に株価が上昇する現象が起きます。
また、関税引き上げが一部品目に限定されている場合、影響が緩やかと判断され「過剰反応だった」との見方も投資家の買い材料になります。
理由③:為替や金利との連動要因
関税によってドル高が進めば、海外収益比率の高い米国企業にはプラスに働く場合があります。さらに、金利の引き下げ(緩和)と組み合わされることで「金融相場」として株価が上昇しやすくなる環境も作られます。
過去には、トランプ関税発動直後にFRB(米連邦準備制度)が政策金利を据え置いたり、利下げ姿勢を見せたことで、むしろ株高につながったこともあります。
理由④:政治的アピールと選挙戦略も影響
関税政策は経済的な合理性だけでなく、選挙戦略の一環としても行われます。トランプ氏が再選を目指す中で「アメリカ第一主義」を再強調する姿勢が見えると、特定業界や中小企業支援政策が期待され、株式市場が好感することもあります。
たとえば、製造業・軍需産業・農業関連など「トランプ銘柄」が投資家に買われやすくなる傾向があります。
まとめ:市場は「関税そのもの」よりも「期待と不安」で動く
関税は基本的にネガティブな経済要因ですが、実際の株式市場はそれをどのように「解釈するか」で反応が大きく異なります。想定より軽度だった、業界別に恩恵がある、為替や政策と組み合わされるといった理由で、関税発表後に株価が上がることは決して珍しくありません。
金融市場は論理だけでなく心理も大きく影響します。「なぜ株が上がるのか?」を考えるには、単なる経済指標だけでなく、その背景にある投資家の心理と構造を理解することが重要です。

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