経営陣が会社をコントロール下に置きたい場合、「MBO(マネジメント・バイアウト)」や「自社株買い」という手法が候補になりますが、両者には明確な違いがあります。本記事では、MBOと自社株買いの違いや目的、実例を交えて、なぜMBOが選ばれるのかを丁寧に解説します。
MBOとは?その目的と背景
MBO(Management Buyout)は、経営陣が自ら資金を調達して自社株を買い取り、経営権を取得するスキームです。株式を市場から買い取り、上場を廃止することで、短期的な株主利益よりも中長期的な経営判断を優先できるようになります。
特に、事業再構築や大胆な投資戦略が必要な場面では、株主の目を気にせずに経営判断ができる体制が求められます。こうした背景からMBOが選ばれることがあるのです。
自社株買いとは?MBOとの違い
自社株買いは、企業が自己資金で市場から自社株を買い戻す行為です。これは株主還元の一環であり、EPS(1株あたり利益)の向上や株価上昇を目的に実施されることが多いです。
一方で、MBOは経営陣が個人または設立した法人を通じて株式を買い取り、支配権を強化するための行為です。つまり、「誰が株を買うのか」「目的は何か」が両者の決定的な違いです。
なぜ自社株買いだけでは不十分なのか?
自社株買いでは、買った株式は企業の資産に戻るだけで、経営陣が個人として経営支配を強めるわけではありません。また、買い戻しできる株数にも制限があり、完全な上場廃止を狙う場合にはMBOの方が確実です。
加えて、自社株買いには市場への公正性や資本政策上の制約もあり、実行タイミングや規模に大きな制限がかかることがあります。
MBOの実例:なぜ選ばれたのか
2021年の「すかいらーくホールディングス」の事例では、創業家が主導する形でMBOが行われました。目的は、外部株主の短期利益圧力から解放され、構造改革や新戦略をスムーズに進めるためでした。
他にも、2022年の「ベネッセホールディングス」も、MBOによってデジタル事業への大胆な転換を進めることが目的とされました。いずれも自社株買いでは実現できない支配構造の変更が背景にあります。
上場廃止の実務面での違い
MBOでは、TOB(株式公開買付)を実施し、90%以上の株式を取得してから残りの株式をスクイーズアウトし、上場廃止へと移行します。この過程は法的にも整備されており、透明性が高いです。
対して、自社株買いでは市場で段階的に取得する必要があるため、スピーディーかつ計画的な上場廃止には不向きです。
まとめ:MBOが選ばれる理由
MBOと自社株買いは似て非なる手法です。経営陣が支配権を得て、上場企業としての制約を脱したい場合、MBOの方が合理的で制度的にも整っています。
「支配権の獲得」「経営自由度の向上」「株主構成の一新」といった目的があるなら、MBOが選ばれるのは自然な選択といえるでしょう。

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