米国株取引において、信用取引を利用している投資家にとって避けて通れないのが「配当落調整金(Dividend Equivalent Payment)」の仕組みです。特に信用売りを行ったまま配当権利確定日をまたぐと、思わぬコストが発生することがあります。本記事では、なぜ配当落調整金が発生するのか、どのような計算で支払うことになるのかを詳しく解説します。
配当落調整金とは?
信用売り(ショートポジション)をしている場合、配当権利付き最終日を過ぎると、株主ではないにもかかわらず「本来の配当を受け取るべき株主」に対して配当相当額を支払う義務が発生します。この支払いが「配当落調整金」と呼ばれるものです。
なぜこれが必要かというと、信用取引では投資家が他人の株を借りて売るため、配当の権利は本来の保有者に帰属します。そのため、信用売りをしていた投資家は、配当金と同額を補填する義務があるという構造になっているのです。
100%の配当額を支払う必要があるのか?
原則として、日本国内証券会社で米国株を信用売りしていた場合、配当額の100%を配当落調整金として支払う必要があります。これにより、信用売りのまま権利確定日をまたぐと、売り手は「見えないコスト」を負うことになります。
たとえば、1株あたり$1の配当が支払われる場合、その株を100株信用売りしていた投資家は、$100を調整金として支払う義務が生じます。
税金の扱いに注意:二重課税問題
米国株の配当金は通常、米国で10%、日本で20.315%の課税がかかりますが、配当落調整金については通常の「配当所得」ではなく「費用」として扱われます。そのため、外国税額控除が適用されない場合もあり、結果的に税制上も不利になる可能性があります。
特に一般NISA口座や特定口座で取引している場合、税制の扱いが複雑になりやすいため、証券会社や税理士への確認がおすすめです。
実例:アップル(AAPL)株での配当落調整金の負担例
例えば、Apple(AAPL)のように1株あたり$0.24の配当がある銘柄で、1,000株を信用売りしていた場合、$240(約36,000円相当)の配当落調整金を支払うことになります。さらに為替レートの変動によって、日本円での支払い額が増減する点にも注意が必要です。
配当落調整金を避けるには?
配当調整金の支払いを避けたい場合は、権利付き最終日までに信用売りポジションを解消するのが最善策です。また、配当直前に株価が下がる「配当落ち」を狙って短期売買を行う場合も、リスクを十分理解したうえで実行するべきです。
証券会社によっては、制度上のルールや計算方法が微妙に異なる場合もあるため、事前に各社の公式ガイドやFAQをよく確認しておきましょう。
まとめ:米国株信用売りと配当の関係は見逃せないコスト要因
信用売りで配当権利日をまたいだ場合、配当落調整金という形で配当額の100%を支払う義務がある点は非常に重要な知識です。配当目的での保有とは逆の立場になるため、余計なコストや損失を避けるには、ポジション管理と日程管理が不可欠です。
投資戦略を立てる際には、配当日と信用ポジションの関係にも細心の注意を払いましょう。

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