米国は2025年7月30日に大統領命令により、従来$800以下の少額輸入品に適用されていた「de minimis(デ・ミニミス)免除」を、世界的に全面的に停止する方針を発表しました。この記事では、影響件数、物価への影響、そして関税免除が密輸に悪用されていたのか、という疑問に応える形で整理します。
少額輸入品の免除措置が受けられていた件数はどのくらい?
2024年には、年間約13.6億件のde minimis輸入が行われており、これは2015年の1.53億件から急増しています。特に2023年には10億件を超える低額輸入が許されていました。
また、米国税関・国境警備局によれば、かつては1日あたり約400万件の少額輸入があったとの報告もあり、2025年5月以降、まず中国・香港向けには免除が終了し、8月29日には全世界対象に拡大されました。
この改正で米国の物価は上がるのか?
多くのオンライン小売業者(たとえばSheinやTemu、eBayやEtsyなど)は、低額輸入を利用して価格競争力を維持してきました。免除の終了により、配送料だけでなく新たな$80〜$200の定率関税や国別に定められたad‑valorem関税などが適用されるようになります。
その結果、米消費者が支払う最終価格は確実に上昇し、特に小規模事業者や再販ビジネスのコスト負担が増すため、全体として物価上昇圧力が高まると考えられます。
関税免除が麻薬の密輸に使われていた事実は?
米国政府は、de minimisによる低額パッケージの検査不足を問題視しており、全体の密輸事案のうち約98%がこの枠組みによるものであったと報告しています。
この背景から、合成オピオイド(たとえばフェンタニルなど)が密輸されるリスクが高く、今回の政策変更の主要な理由の一つとして国家安全保障と公衆衛生上の懸念が挙げられています。
具体的な導入スケジュールと制度の変遷
・2025年5月2日:中国および香港からの少額輸入に対しては免除が先行して終了しました。
・2025年8月29日:全世界の$800以下の輸入品に対し、段階的に免除措置を廃止。
この移行期間中、郵便輸送の場合は$80〜$200の定額関税が適用され、6か月後には通常のad‑valorem関税率へ完全移行されます。
まとめ
この記事では、米国が$800以下の少額輸入品に対する関税免除措置を全面的に廃止する背景と影響について、件数、物価、密輸問題、そして導入スケジュールをまとめました。
免除対象は2024年で約13.6億件、1日あたり約400万件規模。この制度廃止により、消費者価格が上昇し、小規模事業者やeコマース利用者への影響は大きく、また低額輸入を悪用した麻薬などの密輸対策という安全保障上の狙いも明確になっています。

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