なぜ銀行はNISA口座を勧めるのか?高齢者の資産運用と金融機関の対応を考える

資産運用、投資信託、NISA

高齢の親が銀行でNISA口座を開設していたと知り、驚いたというケースは少なくありません。特に金融知識を持つ家族から見れば、銀行の商品ラインナップや販売姿勢に疑問を抱くこともあるでしょう。本記事では、銀行がNISA口座を勧める理由や、その背景にある仕組み、高齢者と資産運用の関係について解説します。

銀行がNISAを積極的に勧める理由とは

銀行は投資信託などの金融商品販売で手数料収入を得る仕組みを持っています。NISA口座は顧客にとって非課税というメリットがありつつも、銀行側にとっては営業成績を上げるチャンスと捉えられていることが多いのです。

また、銀行では定期的なキャンペーンや営業目標が設けられており、NISA口座の開設数も評価指標の一つとなっている場合があります。したがって、本来の顧客ニーズよりも「開設させること」に主眼が置かれてしまうこともあります。

銀行でのNISA運用に潜む問題点

まず第一に、銀行で取り扱っている投資信託は信託報酬が高めであることが多く、長期的に見るとパフォーマンスが劣後する傾向があります。また、取扱商品が限定的なため、リスク分散や戦略的な運用が難しくなることも。

加えて、顧客がNISA口座を開設していたとしても、実際の投資が「特定口座」で行われているケースも少なくありません。これは、販売員が意図的にNISAの非課税メリットを伝えなかった、あるいは手続きが煩雑で顧客が誤解していた可能性があります。

高齢者にとっての「資産運用の相談」の現実

「銀行なら相談できるから安心」と思う高齢者も多いですが、実際には担当者の金融知識や姿勢に大きく依存します。経験が浅い担当者が「勧めやすい商品」をそのまま提案しているケースもあります。

一方で、親切で真摯にアドバイスする担当者も存在します。その違いを見極めるのは難しく、高齢者ほど営業トークに左右されやすいのも現実です。

制度の限界と家族ができる対応

銀行でのNISA開設を一律に否定することはできませんが、金融リテラシーの低い高齢者に対しては、もっとわかりやすく・中立的な助言体制が必要です。

金融庁も最近では「販売時の説明義務」や「適合性の原則」を強化していますが、家族としても定期的に運用状況を確認したり、必要であればIFAや中立的なファイナンシャルプランナーに相談するなど、二重チェックの姿勢が重要です。

まとめ:銀行NISAは“善悪”でなく“理解と選択”がカギ

銀行でのNISA開設にはメリットもデメリットもあります。問題は、「顧客が制度や商品の仕組みを理解しないまま開設・運用してしまうこと」にあります。

制度の理解と家族の関与を通じて、親の資産運用が本当に安心・納得できるものになるようサポートしていきましょう。

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