企業に勤める社員が自社株を保有している場合、売却の際には一定の制限が設けられていることが多くあります。とくにインサイダー取引の防止を目的とした社内ルールは、会社ごとに厳格さが異なります。この記事では「売買可能な期間でも上司の許可が必要」というケースをもとに、自社株の運用ルールやその背景をわかりやすく解説します。
自社株売却には「インサイダー取引防止」の壁がある
上場企業では、社員が自社株を売買する際、未公表の重要情報(業績、合併、リストラ等)に基づいた取引を防止するため、一定の規制を設けています。これは金融商品取引法に基づくルールであり、違反すると刑事罰や課徴金の対象になることも。
そのため、会社は「取引可能期間(ウィンドウ期間)」を設けて、社員が情報開示後の限られた期間のみ売買できるようにしています。
ウィンドウ期間でもなぜ上司の許可が必要なのか
ウィンドウ期間内であっても、売却申請の際に上司やコンプライアンス部門の確認が必要とされる企業は少なくありません。これは、社員の申請内容に不備がないか、インサイダー情報の取得有無を最終的にチェックするプロセスの一環です。
また、会社によっては「株式売却の目的」を申請書で明確にさせることで、計画的・正当な取引であることを文書で残す体制を取っていることもあります。例えば「住宅購入資金」「子どもの進学費用」「ローン返済」などです。
差し戻しが続く場合の原因と対処法
「差し戻しばかりで売却できない」という場合、以下のような原因が考えられます。
- 申請書に記載不備がある
- 目的の内容が曖昧で社内ルールに反している
- 会社の開示前情報(四半期決算など)を間接的に知っていると判断されている
- 上司が売却のタイミングに慎重である
このような場合は、証券管理部門やコンプライアンス室に直接確認を取ることをおすすめします。「なぜ差し戻しになっているのか」「どうすれば承認されるのか」明確なガイドラインを確認しましょう。
実際の企業ルールの具体例
たとえば、某大手電機メーカーでは以下のようなフローが設けられています。
- 売却希望者は事前に「自社株売却申請書」を提出
- 上司による承認(売却理由の妥当性確認)
- 法務・コンプライアンス部門による最終チェック
- 申請後3営業日以内に売却可否を通知
このように、形式上は社員でも「自由に売却できるわけではない」というのが一般的です。
許可制の背景にあるリスク管理の考え方
企業は株式市場に対して信頼を維持する責任があります。役職に関係なく、社員が情報漏えいや不適切なタイミングで売買を行えば、会社の株価や評判に悪影響を与えかねません。
したがって、企業としては「売却した社員が本当にインサイダー情報を持っていないか」を慎重に確認する体制を敷いています。このような背景から、売却には多段階の承認制が敷かれていることが多いのです。
まとめ:納得できない場合は社内ガイドラインの開示を求めよう
自社株の売却に関して上司の許可が必要で差し戻しが続く場合、それは異常というより、インサイダー取引防止の観点から慎重に運用されている可能性が高いです。ただし、過度な制限や不透明な手続きがある場合は、人事・法務・コンプライアンス部署にルールの明示を求めることが有効です。自社株はあなたの資産である以上、正当な理由があれば売却できるように、明確なルールと仕組みに沿って対応していきましょう。

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