「消費税は全世代型の社会保障の財源」と政府は説明していますが、一方で「国債でお金はいくらでも作れる」といった意見も根強くあります。確かに、日本は世界でも有数の債務国家でありながら、財政破綻していない現状を見ると、疑問を持つのも当然です。本記事では、国債と税金の関係、そして社会保障の持続性を、できるだけわかりやすく解説していきます。
国債とは何か?政府が発行する借金のしくみ
国債とは、政府が資金を調達するために発行する「借金の証書」です。国債を購入するのは主に国内の金融機関や日銀で、発行された国債には利息がつき、満期には元本が返されます。
つまり、政府が国債を発行して得たお金は、将来の税収などで返済しなければならない「借入金」であり、決して「無限に湧いてくる魔法の財源」ではありません。
なぜ消費税が社会保障の財源とされているのか
消費税は所得に関係なく広く国民から徴収できる安定した財源です。高齢化が進む中で、年金や医療、介護といった社会保障費は年々膨張しています。こうした支出を持続的に支えるためには、景気に左右されにくい消費税が重宝されているのです。
また、社会保障制度は世代間で支え合う仕組みであるため、より公平性を保つ観点からも、広く徴収される消費税が適しているとされています。
国債は「いくらでも」発行できるのか?
一部の経済学者が提唱する「現代貨幣理論(MMT)」では、通貨発行権を持つ政府は自国通貨建ての国債なら財政赤字を拡大しても問題ないとされます。しかし、これは通貨価値の維持とインフレ抑制が前提です。
たとえば、大量の国債発行でお金をばらまけば、モノやサービスの供給が追いつかず、物価が急上昇し、国民生活を脅かすことになります。実際に、戦後の日本や近年のトルコ、アルゼンチンなどは財政の信認を失ってハイパーインフレに苦しんでいます。
国債依存のリスクとは?
- 将来世代へのツケ回し:現在の赤字を国債でまかなえば、返済は将来の国民にのしかかります。
- 金利上昇の可能性:国債発行が続けば、信用低下で金利が上昇し、利払い負担が爆増します。
- 通貨の信認低下:円の価値が下がり、輸入品の価格が高騰。庶民の生活に打撃。
つまり、国債は有効な手段ではあるものの、濫用すれば深刻な副作用を引き起こす諸刃の剣です。
社会保障の持続可能性と財源の組み合わせ
本当に重要なのは、「どうすれば社会保障制度を持続的に運用できるか」です。政府は税収(所得税・法人税・消費税など)と国債のバランスで財源を確保していますが、少子高齢化が進む日本においては、制度そのものの設計見直しも必要です。
たとえば、支給年齢や自己負担割合の見直し、成長分野への投資による税収増など、多面的な対策が求められます。国債だけに依存するのは、持続可能性の面で大きなリスクです。
まとめ:国債だけでは社会保障を維持できない現実
国債は短期的には有効な財源調達手段ですが、過度に依存すれば財政の信認を失い、経済全体に悪影響を及ぼします。社会保障を支えるには、安定した税収と制度改革の両輪が不可欠です。
消費税が必要不可欠とは限りませんが、「いくらでも国債を発行すればよい」と考えるのは、あまりにも短絡的。現実に即したバランスの取れた財政運営が、将来の安心を生む鍵なのです。

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