非上場企業で自社株を購入した経験のある方の中には、退職後に株式の買い戻しをめぐるトラブルに直面することがあります。特に、債務超過を理由に大幅に安く買い戻されると聞かされるケースでは、納得できないと感じるのも無理はありません。本記事では、非上場企業の株式の買い戻しに関する法的な位置づけや、対応方法について詳しく解説します。
非上場企業の株式とは?
非上場株とは、証券取引所に上場していない企業が発行する株式のことです。市場での自由な売買ができないため、流動性が非常に低く、売却や評価の透明性に欠けるという特徴があります。
そのため、売却には会社や他の株主の承認が必要な場合も多く、買い手も限定されることがほとんどです。
購入時の価格はどう決まったのか?
非上場株を購入する際は、一般的に「時価」に基づいた価格や「会社の算定した株価」での売買が行われます。しかし、その根拠となる株価算定方法が不明確なまま、役員や社長からの口頭での依頼で購入するようなケースもあり、後からトラブルに発展しやすい状況といえます。
実際に、「管理職昇格の条件」や「義務的な持株」として購入を強いられた場合は、強要と見なされる可能性もあります。
買い戻し価格に納得できない場合の考え方
会社が債務超過を理由に安値で買い戻そうとする場合でも、その価格が正当であるかどうかは別問題です。特に以下の点を確認することが重要です。
- 第三者評価がなされた価格か:公認会計士や税理士などによる客観的な株価評価があるか
- 取締役会や株主総会の決議があるか:正式な手続きで買い戻し価格が決定されたか
- 会社の定款や株式譲渡制限の規定:売買価格の定めや買取請求に関する規定の有無
こうした情報が曖昧な場合や説明責任を果たしていない場合は、不当な取引条件と主張できる余地があります。
法的手段はあるのか?
法的には、以下のような選択肢が考えられます。
- 弁護士を通じて株式評価額の再算定を請求:会社法上、株主には適正な価格での買取請求を行う権利があります。
- 裁判所へ「株式評価価格決定の申立て」:地方裁判所に申し立てを行い、裁判所が価格を決定する制度があります。
- 「錯誤」や「強要」による契約無効の主張:購入時点での説明不足や心理的圧力があれば、契約そのものの無効を訴えることも可能です。
ただし、証拠が必要であり、元勤務先との関係性や時間・費用も要するため、専門家に相談のうえ慎重に進めましょう。
実際の相談例と対処法
ある退職者が、50万円で買った自社株を5万円で買い戻すと一方的に通知されたケースでは、購入時に書面による株式評価資料や契約がなかったことが争点になりました。
最終的には、弁護士を通じて会社に説明責任を求めたところ、第三者評価機関を利用して再算定が行われ、30万円での買い戻しに再交渉が成立した例もあります。
このように、強い姿勢で交渉することで、一定の譲歩を引き出せる場合もあります。
まとめ
非上場企業の株式を高額で購入したにもかかわらず、退職後に安価での買い戻しを迫られる事例は少なくありません。納得できない価格での取引には応じず、会社に対して適正な評価根拠を求めることが重要です。状況によっては、裁判所への申し立てや契約無効の主張も可能ですので、まずは弁護士などの専門家に相談し、法的手段も視野に入れて対処していきましょう。

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