公開買付け(TOB)に応募しなかった場合、株主の保有株式はどうなるのでしょうか。特に、上場企業がTOBを経て非上場化する際の手続きや影響について、川本産業の事例をもとに解説します。
川本産業のTOBとその背景
2025年2月、エア・ウォーター株式会社は川本産業株式会社に対して1株1,200円での公開買付け(TOB)を実施し、同年4月3日に終了しました。応募株券等の総数が買付予定数の下限を上回ったため、TOBは成立しました。これにより、川本産業は上場廃止となる見込みです。
このTOBの目的は、川本産業を完全子会社化し、非上場化することでした。
TOBに応募しなかった株主の株式の扱い
TOBに応募しなかった株主が保有する株式は、TOB成立後も引き続き保有されますが、上場廃止に伴い、株式の流動性が著しく低下します。市場での売買が困難になるため、実質的に換金性が失われる可能性があります。
また、エア・ウォーターが川本産業の特別支配株主となった場合、会社法に基づき、残存株主に対して株式売渡請求を行うことが可能です。これにより、残存株主の保有株式は強制的に買い取られることになります。
スクイーズアウトの手続き
スクイーズアウトとは、少数株主を排除して完全子会社化を実現する手続きです。一般的な方法としては、株式併合や全部取得条項付種類株式への変更などがあります。これらの手続きにより、少数株主の株式は現金などで買い取られ、会社は完全子会社化されます。
金融庁のQ&Aによれば、公開買付け後にスクイーズアウトを行う場合、特別支配株主が株式売渡請求を行うことができます。
株主の対応策
TOBに応募しなかった株主は、以下の対応策を検討する必要があります。
- TOB価格での売却:TOB期間中に応募しなかった場合でも、上場廃止前に市場で売却できる可能性があります。ただし、株価はTOB価格に近づく傾向があります。
- スクイーズアウトへの対応:スクイーズアウトが実施された場合、保有株式は強制的に買い取られることになります。買い取り価格や手続きについては、会社からの通知を確認し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。
まとめ
TOBに応募しなかった場合でも、上場廃止やスクイーズアウトにより、保有株式の流動性や価値に影響が生じる可能性があります。特に、川本産業のように完全子会社化を目的としたTOBでは、最終的に少数株主の株式も買い取られることが一般的です。株主としては、会社からの通知や手続きを注視し、適切な対応を行うことが求められます。

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