日銀が抱える国債の含み損が過去最大の28兆円に達したというニュースは、多くの人に衝撃を与えました。特に「含み損が決算に反映されない」という会計処理が注目されています。このような処理は日本特有なのか、それとも他国の中央銀行でも一般的なのでしょうか。本記事では、日銀の会計処理の仕組みと、外国の中央銀行や民間銀行との違いをわかりやすく解説します。
日銀の「満期保有を前提とした会計処理」とは?
日本銀行では、保有する国債を「満期まで保有する前提」で扱うため、価格が下落しても売却しない限りは損失を実現しません。したがって、帳簿上の損失(含み損)は決算に反映されない仕組みになっています。
これは「満期保有目的債券(HTM)」として会計処理されるためで、価格変動による評価損を損益計算書に計上しないことが可能になります。
外国の中央銀行も同じ仕組みなのか?
多くの主要国の中央銀行も、国債や証券を満期保有目的で保有しており、同様の会計処理を採用しています。たとえば、アメリカの連邦準備制度(FRB)でも、量的緩和で購入した国債の評価損益は決算上に反映されません。
欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行も、長期的な金融政策運営を前提としているため、短期的な価格変動に基づいた損益評価はしないのが一般的です。
民間銀行との違い:なぜ含み損が決算に反映されるのか?
一方で、民間銀行は金融商品を「満期保有目的」「売買目的」「その他保有目的」などに分類し、売買目的やその他の場合には市場価格で評価するルールが課されています。これにより、含み損益が直接損益計算書や純資産に反映されることになります。
これは投資家への透明性確保とリスク管理の観点から、厳格な開示が求められているためです。
なぜ中央銀行だけが例外的に扱われるのか?
中央銀行は国家の金融安定を目的とする機関であり、損益よりも政策遂行の継続性が重視されます。そのため、一時的な評価損によって政策判断が歪められるのを防ぐため、満期保有を前提とした特別な会計処理が認められています。
また、中央銀行は「最後の貸し手」であり、資金繰りに行き詰まることがないという点でも、民間企業とは根本的に異なる存在です。
今後のリスクと注視すべきポイント
ただし、金利が長期的に上昇すれば、保有国債の評価損はさらに拡大します。現時点では帳簿上の問題にとどまりますが、信認低下や市場への影響を招く可能性もゼロではありません。
海外投資家や格付け機関が、日銀のバランスシートをどのように評価するかは、為替市場や国債市場に間接的な影響を与えることがあるため、引き続き注意が必要です。
まとめ:日銀の会計処理は国際的にも一般的、民間銀行との違いを理解しよう
日銀が含み損を決算に反映しないのは、金融政策の安定性を確保するための国際的に共通した会計処理です。FRBやECBなど他の中央銀行でも同様のアプローチが取られています。
一方で、民間銀行は透明性と投資家保護のため、時価評価が義務づけられており、含み損が決算に直結します。この違いを理解することが、金融機関の財務情報を正しく読み解く第一歩となります。

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