株式取引におけるSOR注文やJNX(ジャパンネクストPTS)の仕組みは、初心者にとってわかりにくい部分もあります。とくに「指値で売却したのに、なぜか一部が指値より安く約定された」という経験は、多くの投資家が疑問に感じるポイントです。今回はこのようなケースが起こる理由とその背景について解説します。
SOR注文とJNX(PTS取引)の基本をおさらい
SOR(スマート・オーダー・ルーティング)注文とは、投資家にとって最も有利な市場(東証やJNXなど)を証券会社が自動で選んで注文を執行してくれる仕組みです。JNXは私設取引システム(PTS)の一種で、取引所外での株取引を可能にします。
たとえば、東証の板では成行買いの価格が1,003円、JNXでは1,005円だった場合、SORは自動的にJNXを選択して1,005円で売却されるように調整されます。
なぜ指値より安く約定されることがあるのか?
SOR経由でPTSに出された指値注文で、約定価格が指値より低くなったケースは稀ですが、いくつかの要因があります。特に次のようなパターンが考えられます。
- 一部約定時の流動性不足:指値で売り注文を出したが、板に並んでいた買い注文の価格がそれ以下だった場合、注文が一部だけ執行され、その価格で約定されることがある。
- 証券会社のシステム仕様:SORでの指値売却が、必ずしも指値価格で「全数量約定」するとは限らず、約定条件や優先市場の切替によって想定と異なる価格で成立する場合がある。
たとえば、100株を1,000円で売却指値を出した場合、JNX側で1,000円の買いが70株、997円の買いが30株並んでいたとすると、SORはこれを分割して即時約定させることがあり、結果的に一部が997円で売られることも。
注文ミスではないのに価格がズレる原因
多くの投資家が「自分の入力に間違いはない」としても、システム的な補完や市場の動きにより、実際の価格にずれが生じることがあります。
一例として、証券会社によっては「価格優先よりもスピード優先」でSORを執行する方針を採っている場合、僅かな価格差であっても流動性の高い市場へ注文を送ってしまい、結果として指値より不利な価格で約定することもあります。
PTS市場と東証の取引時間の違いも関係する
JNXなどPTS市場では、東証が閉場している夜間にも取引が可能です。この時間帯は板の厚みが薄く、注文数も少ないため、指値であっても思わぬ価格で約定してしまうリスクが高まります。
とくにPTS夜間取引では、成行注文や価格乖離のある注文が出やすく、想定と異なる価格で約定することがあります。これも一因として考えられるため、取引時間にも注意が必要です。
まとめ:SORとPTSを使う際は「約定条件」を明確に
SOR注文は便利な仕組みですが、すべての取引が想定通りに進むとは限りません。とくにJNXを含むPTS市場では、流動性や取引時間帯によって価格がブレることがあるため、成行ではなく「指値+全量一致条件」を設定するなどの対策が重要です。
自分の注文がどの市場で、どのような条件で執行されているかを常に意識し、注文方法を使い分けることでリスクを最小限に抑えられます。

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