近年、災害時や物価高騰の影響で注目されている「備蓄米」。特売や放出時には行列ができるほどの人気ぶりですが、金銭的・時間的なコストを冷静に考えると、コンビニバイトやアプリバイトで稼いだお金でブランド米を買う方が合理的だという声もあります。本記事では、なぜ備蓄米に行列ができるのか、その背後にある群集心理と経済合理性のギャップを解説します。
時間をお金に換算する視点:本当にお得なのか?
たとえば、備蓄米を得るために2時間並んだ場合、その時間を時給1,200円のアルバイトと換算すると2,400円分の労力になります。一方、備蓄米1袋(5kg)が1,500円程度であれば、実際には時間と労力の面で割高という見方も可能です。
このように、コストパフォーマンスだけを重視するなら、アルバイトで現金を得て市販の米を買う方が理にかなっているといえるでしょう。
それでも行列に並ぶ理由とは?「損したくない」心理
心理学では「損失回避バイアス」と呼ばれる傾向があります。人は得をするよりも「損をしない」ことに強く反応する傾向があり、「他の人が得しているのに自分だけ損をしたくない」と考えて行動します。
たとえば、近所の人が備蓄米を入手しているのを知ると、自分もそれに追随しないと「出遅れ感」や「損した感覚」が生じるため、実利よりも心理的満足のために行動しているともいえるのです。
「並んだ=得をした」ように感じる行動経済学的視点
また、長時間並んだという体験そのものが「入手した価値」を高めることがあります。これを「努力の正当化」といい、苦労して得たものほど大切に感じる心理です。
そのため、「並んで得た備蓄米」の方が、スーパーで簡単に買った米より美味しく感じられるという主観的な効果もあります。
SNSによる群集心理の拡大
現代ではSNSが情報伝達のスピードを加速させ、「○○で備蓄米が無料でもらえる」などの投稿が瞬く間に拡散します。こうした投稿は、「自分ももらい損ねたら嫌だ」と感じるFOMO(取り残されることへの恐れ)を引き起こします。
その結果、実際にはそれほど得ではないのに人が殺到し、行列=価値があるという錯覚を生み出してしまうのです。
それでも「行列に並ぶ人」を否定できない理由
冷静に分析すれば非効率でも、「備蓄米を手に入れたことで安心感を得たい」「近隣住民との一体感を感じたい」といった心理的・社会的な報酬も存在します。
そのため、単に「時間の無駄」「非合理的」と切り捨てるのではなく、人間の本能的な行動として理解する視点も必要です。
まとめ:合理性だけでは測れない人間の行動
備蓄米に行列ができる現象の背景には、経済合理性だけでなく、損失回避やFOMO、社会的同調といった複雑な心理が絡んでいます。
確かに「バイトで稼いで買った方が早い」という見方も正しいですが、群集心理を理解することで、なぜ人々が行列に並ぶのかをより深く読み解くことができます。経済と心理、両方の視点から現象を捉えることが、今後の判断にも役立つでしょう。

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