通常、商品の価格が下がれば需要は増え、価格が上がれば需要は減ると考えられています。しかし、現実にはこの常識が当てはまらないケースも存在します。それが「逆需要曲線」という概念です。本記事では、逆需要曲線の基本から、代表的な実例、そしてその背景にある経済的な意味までわかりやすく解説します。
逆需要曲線とは?
逆需要曲線とは、価格が上昇すると需要も増加し、価格が下落すると需要が減少するという、一般的な需要法則と逆の動きをする需要曲線を指します。通常の需要曲線が右下がりで描かれるのに対し、逆需要曲線は右上がりになります。
このような動きを示す商品やサービスは非常に限定的で、特定の経済的・心理的条件下で発生します。
ギッフェン財とヴェブレン財の違い
逆需要曲線の代表例として、ギッフェン財とヴェブレン財があります。いずれも通常の法則に反する需要の動きをしますが、その理由は異なります。
- ギッフェン財:所得効果が代替効果を上回るため、価格が上がっても実質的にそれしか選べず、需要が増える商品(例:ジャガイモや主食)
- ヴェブレン財:高価格そのものがステータスとみなされ、価格が高いほど欲しがる商品(例:高級ブランド品、高級時計)
つまり、ギッフェン財は貧困層の選択に関わる現象、ヴェブレン財は富裕層の消費行動に関わる現象です。
実例で見る逆需要の動き
ギッフェン財の例として有名なのは、19世紀アイルランドのジャガイモです。価格が上昇しても他の食品が買えず、結果としてジャガイモの需要が増加したとされます。
一方、ヴェブレン財では「エルメスのバッグ」「ロレックスの腕時計」などが挙げられます。価格が高いほど「希少で価値がある」と見なされ、あえて購入する層が存在します。
逆需要曲線が生まれる背景
逆需要曲線が生じる背景には、非合理的な消費行動や、限られた選択肢、社会的シグナルの効果があります。特にヴェブレン財では「他人にどう見られるか」が需要を左右する要因になります。
このため、逆需要曲線は必ずしも市場全体に現れるわけではなく、特定の階層・状況下でのみ確認されるものです。
逆需要曲線の重要性と注意点
逆需要曲線の理解は、単に価格と需要の関係を超えた消費者心理や、経済行動の多様性を把握する上で非常に重要です。ただし、現実にはきわめて稀な現象であるため、通常の経済分析では補足的に扱われることが多い点にも注意しましょう。
また、ヴェブレン財として扱われていた商品が、大量生産や偽物の流通でステータス性を失い、普通の需要曲線に戻ることもあります。
まとめ
逆需要曲線は、「価格が上がると需要も増える」という一般常識と逆の動きをする需要パターンです。ギッフェン財やヴェブレン財といった具体例を通じて、消費者の非合理的行動や心理的要因の影響を理解することができます。日常生活ではあまり見かけないかもしれませんが、経済学を学ぶ上ではとても興味深く、奥深いテーマといえるでしょう。

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